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PSO2二次創作小説「時の輪」(20)

やあ、実に2ヶ月ぶり(汗)
ゲームの方に集中していて、書くのを忘れてたとか言えませんすみませんorz



この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方(おおよそ7枚目クリアしたくらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

(11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19)

注意:初めての方はまず上記の小説の前にこちら↓
PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~
をお読みになる事をお勧めします。




↓PSO2二次創作小説「時の輪」(20)
その科学者といつも待ち合わせをした場所に、彼らは立ち尽くす。
個人に与えられる簡易端末での通話は勿論、メールを入れても返事がない。
緊急用に使えと教えておいたコードも使用した形跡がない。
以前に聞いていた彼の個室にも人の気配はなかった。

「止めたんです、私。せめてリュードさん達に連絡をとってからにしたほうがいいって」
「……」
「なのに『時間がないから、大丈夫だから』って…。一緒に行けばよかった…」
「貴女のせいじゃないわ、貴女にも任務があったんでしょ?」

項垂れるフーリエに、エリが慰めるようにそっと首を振って笑った。
正義感の塊のようなこのキャシールは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
端末の操作を止め、ホログラムモニタを閉じてリュードが顔を上げる。

「…そもそも、アークスでもない者に単独での探索の許可が降りるはずがないんだ」
「そうなんですよ。そう言ったら『護衛がついてくれるから』って」

その「護衛」が護衛でなかった可能性。
以前の彼の行動からして、馬鹿正直に「探索の申請」を出していたのだろう。
それは「ナベリウスを調べられては困る者達」に筒抜けだったに違いない。
今回の行方不明者が彼である事が確定した時点で、そうした「力」が働いている事は明確だった。

「とにかく、彼が降りたという凍土へ行こう。何か痕跡が見つかるかも知れん」
「まだロジオ君が死んだと決まったわけじゃないものね」
「わ、私も行きます!」

そうして、彼らは極寒の地へ降り立った。
ナベリウスの恒星の光が届いているのにも関わらず、ここは凍てつく風が吹きすさぶ。
降り積もった雪が凍り付き、さらにその上に幾重にも重なっている。

「通信を断った場所はこの先ね?」
「そのはずです」

フーリエの導きで、二人は歩を進める。
行方不明になってまだ数日。
本来ならば、捜索隊が出ていておかしくない筈の状況。
だが、誰一人それらしい人物には出会わない。

「表向きは捜索中、しかし捜索している気配はおろかその痕跡すら無い…か」
「ロジオさん…」

か細いフーリエの声が、絶望に満ちる。
ここに来るまでにはっきりした事があった。
ロジオの行動は『民間人が単独で勝手に探査惑星に降り立って行方不明になった』と報道されている。
アークスシップのセキュリティ上、どうあがいても民間人が単独で「キャンプシップへのゲート」を抜ける事など不可能である筈なのに。
全てを彼一人の愚かな行動として押し付け、そのままうやむやにするつもりなのだろう。
そこまで、ロジオは「核心」に迫っていたのだ。
アークス上層部が隠しておきたい「真実」に。

彼らが僅かに開けたその場所へたどり着いた時。
突然、彼らの進行方向の虚空に亀裂が走った。

「…?!」

その空気を劈く音に、全員が武器を抜いて身構える。
バリバリと音を立てて、空に浮かぶ亀裂から黒く鋭い銛のようなものが幾つも突き出し。
その亀裂を、さらに大きく引き裂く。

「何だ…?!」

一見、龍族のようなその風貌の巨大な生物が亀裂の中から這い出して来た。
赤黒く細い腕と脚、骨格がむき出しになったような白い身体には、血管が浮き出ているかのように赤い文様が走っている。
刺々しいその手足の爪と頭部。
エリの首筋が引き攣った。

「ダーカー…?」

エリの言葉に、リュードはその生物を凝視する。
その身体から立ち上る黒い渦は、紛れも無くダーカーの放つものと同じ。
だが、足下に居る小さな人間達に気付いたその生物はふと動きを止めた。

「…?」

黄色く光る目は、リュードを見た。
じっと、見定めるように彼を見つめる。
その様子に、リュードはタルナーダを収め、その目へと視線を投げ返す。
そして、その生き物は鉤爪のような手をゆっくりと彼に伸ばした。

「リュード!!」
「リュードさん!!」
「……」

武器を構えて、巨大な生物に狙いをつけようとする二人を、リュードは無言で静止した。

何故だろう。
ダーカーの気配を持っているのに、何故「意思」を感じる?
しかもそれは敵意ではなく、何かを伝えようとしているようにすら感じる。
そのイキモノは、顔をリュードへと近づけて来る。
彼を調べているようにも見えた。
その時に、頭の上の鋭いツノのような部分の片側に、黄色い布のようなものが巻きつけられている事に彼は気付いた。
布に刻まれた細かいオラクル文字が、「人の手」によってツノに巻かれたものだと示している。

「お前は…?」

リュードはその鼻先に触れようと手を伸ばす。





「…見つけた!!!」

女の叫びが、その場の「均衡」を乱した。
リュードの触れようとしていた鼻先を、鋭い刃が一閃する。

「!」

唐突に現れたそれは、青い髪を持ち、黄色と黒の刺々しいスーツを身に付けた少女。
似合わぬ殺意を隠そうともせず、その巨大な生き物とリュードの間に割って入ったのだ。
両腕にある刃は、リュードをも斬りつける勢いで振り回される。
間合いから飛び退くようにして離れ、リュードは目の前の少女を見た。

「…何者だ?」
「危険です。下がって下さい」

背を向けたまま、吐き捨てるように少女は呟く。
言葉遣いは丁寧でありながら、同じように飛び退いた巨大な生き物より遥かにはっきりとした「敵意」を持っていた。
リュードは首を傾げ、その背を見る。

「見た目は確かにああだが、危険な様子は無かったぞ?」
「知らないからそんな事が言えるんです。最も、知ってしまったら貴方がたまで手に掛けなければならなくなるのですが」

分かりやすい脅し。
リュードは思わず鼻で笑ってしまった。

「似合わない事はやめておけ」
「…何ですって?」
「俺に脅しは通用しない」

彼の態度に、少女はあからさまな嫌悪感を見せながら視線をこちらに投げた。

その刹那、巨大な生き物が咆哮する。
空気を震わせる叫びが再び空に「亀裂」を作り。
まるで目の前の少女から逃れるように、巨体はその中へと飛び込んだ。

「…ハドレッド!!!!」

少女は後を追おうと走るが、亀裂は寸前でピシャリと閉じられる。
再び、静けさが取り巻いた。
その目をギリギリと釣り上げて、彼女は舌打ちをする。
ふう、とリュードは小さく溜息を付いた。

「…逃げちまったな」
「貴方が邪魔をしなければ…!」

振り返った少女の顔にはまだあどけなさが残るが、その気配は普通の人間のものではない。
苛立ちと殺意をリュードにぶつけるように睨み据える。
不似合いなほどに刺々しい姿に、エリは思わず首を傾げた。

「正規の武装じゃないわね、貴女は誰?」
「語る名はありません。命が惜しいのなら詮索は無用です。今見た事も忘れる事をお勧めします」

尋常ではない殺意が、その場を満たす。
フーリエは思わずエリの後ろに隠れるように怯えるが。
リュードはふと僅かに笑みを浮かべ、少女に一歩、歩み寄る。

「成る程。最近俺を付け回していたのは君か」

その言葉に、少女の顔色が僅かに変わった。

「…何の事でしょうか?」
「浮遊大陸で俺を見ていただろ?」

謎の武器のパーツを手に入れるために浮遊大陸へと足を踏み入れた時、同じ視線を感じていた。
先日のショップエリアでも、全く同じ視線に気付いていた。
他の誰にも分からなかったかもしれないが、彼はそれを感じ取っていたのだ。
少女は両腕の武器を構え、リュードへと向き直る。

「何者ですか、貴方は?」
「質問に質問で返すのは利口なやり方じゃないな。最も、君は『雇われ』なんだろうがね」
「……」

口を噤み、武器を構えたまま彼を見据える少女は。
しばらくして、ふと腕を下ろした。

「やめましょう。時間の無駄です」
「そんな事はない。他にも聞きたい事はあるんでね」
「何でしょうか?」
「ロジオという科学者を知らないか?ここで行方不明になったと聞いている」

リュードの質問は、再び少女の表情を僅かに変えさせるもの。
彼女は背を向ける。

「さあ…?」
「…君は感情を隠すのが下手だな。よくそれで始末屋をやっていられるもんだ」
「始末屋…?」

噂には聞いていた。
遥か以前から、アークス上層部やオラクル本部の意に反する者を人知れず消去している者達の存在を。
L計画の科学者も、恐らくは「彼ら」によって口封じされたのだろう。
まだ幼さの残るこんな娘が、始末屋?
リュードの傍らに、エリが立つ。
始末屋という言葉に、少しでも彼を「守ろう」とする意思が現れた。
その言葉は同時に、少女の態度を更に硬化させるものでもあった。

「…貴方を監視しろという命令の理由が理解出来ました。危険人物なのですね、貴方は」
「それは間違いないな。だからこそ教えて欲しいんだよ…俺の友人をその手にかけたのか、をね」

最後の言葉に、彼は「一つの意思」を込めた。
それは目の前の少女の殺意さえ飲み込み、その場に居た者達の身を本能的に萎縮させる程のおぞましい気配。
場の空気が更に一気に冷え込んだようにエリは感じた。

答を違えば、殺される。
気圧され、少女は思わず後ずさった。

「…任務は失敗しました」
「失敗?」
「ここでその科学者を殺す手はずでしたが、先ほどの造龍に連れ去られたのですよ」
「造龍…って、あの大きな生き物の事?」
「…何処へ連れて行ったか分かるのか?」
「さあ?直後に惑星リリーパで目撃情報があった後は、あまりに神出鬼没でしたので分かりません」
「その割には、随分といいタイミングで現れたものね?」
「痕跡を追って来たら貴方がたが居ただけの事です」

それにしても。
あの大きな生き物が、作られた龍族?
誰が?
どんな目的で?
さらに問いかけようとするエリに、少女はそれを静止するかのように視線を投げた。

「喋りすぎました。これ以上の詮索は貴方がたの命と引き換えです」
「…充分だ、ありがとう」

笑みを浮かべて、リュードは答える。
思いがけないその言葉。
先ほどの気配など微塵も見えないその笑みが、少女を混乱させる。
僅かに困惑の表情を浮かべ、今一度問いを口にした。

「気配を絶っていた私に気付く鋭さと、先ほどの気配と今のその顔…何者なのですか、貴方は?」
「君の『上司』に聞いてみたらどうだ?」

監視の命を下した者と、目の前に居るターゲットの正体と関係。
それを知らされていない自分の「立場」を思い知ったのだろう。

「…失礼します」

僅かに震える声を残し、少女は文字通りその場から「消えた」。
慌ててエリが姿を消したその場所へ駆け寄るが、既に何もない。
リュードは小さくため息を付いた。

「やっかいなのに目をつけられたなぁ…」
「あの子が始末屋、って本当なの?」
「間違いない。少し前から俺を付け回してたのも彼女だ」
「やっぱり…研究部絡みなんでしょうか…?」
「悪いな、また巻き込んじまった」

僅かに怯えの表情を浮かべるフーリエに、リュードは頷いた。
しかし、ふとフーリエは思案を巡らせる。

「でも…あの子が言ってましたよね?ロジオさんは、何でしたっけ、造龍?に連れ去られたって」
「ハドレッド、と呼んでいたわよね」
「そうですよ、そのハドレッドとかいう龍は、そのあとリリーパに行ったんですよね?」
「らしいな」
「とすると…」

元来の責任感が、むくむくと湧き上がる。
フーリエの瞳が輝いて、リュードに向き直った。

「私、リリーパに行ってみます。ひょっとしたら、あの子たちがロジオさんを助けてくれてるかもしれない!」

あの子たち、とは、リリーパに住まうウサギのような耳を持った原生生物。
フーリエは数少ない、リリーパ族の言語を理解し、その交流を主とするアークスだった。
僅かな可能性に、フーリエは何度も頷いて気合を入れる。
エリは頷いて、笑みを浮かべた。

「そうね、お願いできる?」
「はい!ロジオさんが生きてる可能性があるんです、私頑張ります!」
「くれぐれも気をつけろよ?君もマークされてる筈だ」
「それはもう!最近は常に警戒して活動してるので大丈夫です!」

張り切るフーリエをよそに、リュードはふと「ハドレッド」が消えていった空を見上げる。
粉々になった記憶を辿り、かき集める。

造龍、文字通り人の手によって造られた龍。
D因子とヒトの遺伝子を掛けあわせたのが自分。
しかしそれ以外にも、「ヒト以外」の遺伝子を交配させた実験が幾つも行われていた筈。
その中には確かに「龍族」も含まれていた。
龍族の命を使って生み出されたのが「ハドレッド」だとすると、それは「龍族」への冒涜に繋がる。
彼らがその事実を知ったら、どう思うだろうか。
あの誇り高い龍族はきっと「人間」を許しはしない。
ここまで築き上げてきた信頼が瓦解する可能性もある程の「事実」。
そうでなくても、あの場所では数多くの「非人道的」な実験が行われていた。
いや、現在進行形で今も続いているのだ。

そもそも、最初からあの少女は造龍を狙っていた。
浅からぬ因縁があるのだろう。
あの若さで始末屋として生きなければならない理由も、そこにある気がする。

「同類相憐れむ、か」

ハドレッドが自分に対して敵意を見せなかったのは、「己と同じ気配」を感じたからなのかもしれない。
ふと、リュードはそんなことを考える。



その日の夜、アークス全員に端末に配信されるニュースの片隅に。
「研究部の一部門において事故が発生、実験動物が多数脱走」
という小さな記事が掲載された。
その記事は「情報開示の遅さ」の追求に終始していたので「本来の意味」に気付いたのはほんの一握りの人間だけだった。
ほぼ同時に、探索されている惑星の至るところで「造龍らしき生物」が数多く目撃されるようになる。

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