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PSO2二次創作小説「時の輪」(26)

この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方(おおよそ9枚目クリア)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

(11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)

(21) (22) (23) (24) (25)


注意:初めての方はまず上記の小説の前にこちら↓
PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~
をお読みになる事をお勧めします。




↓PSO2二次創作小説「時の輪」(26)



「俺が…俺は……!!!」

ゲッテムハルトの声が、次第に人ならざる者へと、変容していった。

『我は…我が…!!!』

その場にあった闇のフォトンが、根こそぎ「吸収」される形で。
静けさが、その場を満たす。

「…ゲッテム…ハルト…!!」

エリを地に横たえ、リュードは立ち上がる。
恐ろしい事に、それまで己を蝕んでいた「声」が消えた。
それは目の前にある存在が「別の器」を選んだからに他ならなかった。

『…そうか…そうか、そうかそうかそうかそうか!!!』
「…!!!」
『久しいぞ…甘美なる大気よ。嬉しいぞ、鮮烈なる青玄よ…!我が闘争の為の万象よ!!永く、永く待たせてしまったな…!!!』

地の底から響く、悍ましい声。
両手を広げ、ナベリウスの大地に立つ。
闇に染まった肌と、闇の衣。
その髪すら濃紫に染まり、瞳はダーカーの核の様に紅く輝く。

「違う…ゲッテムハルトじゃねえ…テメェは…!!!」

大剣を構え、ゼノが叫ぶ。
その異形の視線は彼を捉え、笑った。



『畏怖せよ、アークス。我は巨躯。ダークファルス【巨躯《エルダー》】!!!』



言葉と共に。
たった今己のものにした「闇」を、放出する。

「…あ…あああ…」

エコーがその「恐怖」をまともに受け、よろよろと地べたに膝を付いた。
身が震え、思考が止まる。
反するように、リュードはその身に湧き上がる「怒り」を抑えきれなかった。

「…エルダー!貴様…貴様何故俺を依り代にしなかった…!!!」

ギリギリと聞こえるほどの歯軋りを立てるリュードの言葉に、ふと【巨躯】は笑みを浮かべる。

『人間共の浅ましき知恵によって生み出された器よ、我が求めるのは闘争。血に飢えた魂に我は導かれただけだ』

人の闇から生まれたダークファルス。
闇を生み出すのは、人同士の憎悪、争い、嫉妬、殺意、またはその全て。
ゲッテムハルトが自ら、ダークファルスをその身に招いたとでも言うのか。

『初の戯れの相手、貴様に与えよう。その身に残る闇の力、我に差し出せ!!!』

闇の鎧を身に纏い。
まるで、鱗のような赤黒いフォトンを具現化した大剣を手に。
ダークファルス・エルダーはリュードへ一直線に闇の剣撃を飛ばした。
だが。

「…ぬるい!!!」

己を惑わせる「声」が聞こえないという事は。
それだけ、「自分」として戦えるという事。
リュードはいとも容易く、その刃を弾き飛ばした。
同時に、ゼノの剣撃が飛び。
カスラの風の法撃が【巨躯】を退かせる。

『ほう…?』

エルダーは好奇の目で、目の前の人間たちを見た。

「こうなった以上…もう迷わん。俺が、この場で、貴様を叩き斬る!!!」

立ち上がり、タルナーダを構え。
燃えるような闘気を放つリュードが、そこにいた。

「俺を忘れてもらっちゃ困るぜ、旦那」
「退くわけには行きませんからね」

即座に、補佐するようにリュードに駆け寄るゼノとカスラ。
座り込んだままのエコーを見やってから、ゼノはテレパイプを「メルフォンシーナが倒れ伏している場所」「エリが横たえられている場所」へそれぞれへ展開させた。

「エコー!あの二人を早くキャンプシップへ!!」
「え…え…?!」
「早く!お前は二人を連れて撤退しろ!!!」
「ば、バカ!何言うのよ!私だって…!!!」

言葉とは裏腹に、エコーは立ち上がるのがやっと。
その身が恐れ、慄く。

「…逃げ腰に心折れた状態じゃ足手まといだって言ってんだ!早くしろ!!!」
「で…でも…!」
「これでも六芒の端くれ、三人ならば時間を稼ぐ事も、離脱も可能。貴女はお二人を連れて、逃げて下さい」
「…エリを、頼む」

カスラが笑って、頷く。
振り返らず、リュードが呟いた。
その言葉にようやく、エコーは頷いた。

「わ…わかりました」

エコーはパイプを起動させ、二人をシップへ送り。
それから、己もそのゲート内に入ってから、叫んだ。

「…お願いよ、皆、ゼノ、絶対戻ってきて!!」
「わーってるよ、うるせぇなー」

エコーが自ら入ったテレパイプが消失したのを確認してから。
彼らは再び、【巨躯】に対峙した。
まるで、楽しむかのようにくつくつとエルダーは笑う。

『準備は整ったか?猛きアークスよ』
「わざわざ待っていてくれるとは、随分話の分かるダークファルスですね」
『戦う意思無き者は討つに値せず。この身が求めている。強き者との戦いをな…』
「はっは、お褒めの言葉ありがとよ。んじゃまあ…」

その時だった。
ゼノが、リュードを突き飛ばす。
あまりに突然の行動に、地面を転がり受け身を取るのが精一杯だった。

「…何を!?」

そこは、もう一つ残っていた「テレパイプ」のゲート内。
ゼノが駆け寄り、己の端末を起動させた。
それは、リュードをこの場から強制的に転送する手段に他ならない。
その「意図」に気づいて、リュードは愕然となった。

「バカな!ゼノ!!!!」
「悪いな、旦那。あんたをこの場に居させるわけにはいかねぇんだ。ヤツが狙ってるのは『あんたの力』だからな」
「ゼ…!!!」

リュードがゲートから飛び出そうとする寸前に。
ゼノはテレパイプを作動させ、強制的にパイプを消失させた。

「ちったあカッコつけさせてくれよ。そうでなきゃ俺の見せ場がなくなっちまうからさ」
「まあ確かに、逃げるだけなら数が少ない方が『被害は少ない』ですね」
「そういうこと」

そもそも、六芒均衡の三英雄が束になって「倒せなかった相手」。
一度撤退して、体制を立て直す方が理にかなっている。
その二人の行動に。
【巨躯】は、あからさまに不愉快な表情を浮かべた。

『小細工を…!我らの闘争を反故にする気か!!』
「正面切ってバケモノと戦う気なんかさらさらねぇよ、やる気満々の旦那を撤退させるにはこれしかなかったのさ!」
『おのれ…!!!』
「逃げるぜ!カスラさんよ!!」
「ええ!!」

一気に、闇の因子が爆発した。



「…リュードさん!?」

ナベリウス上空に待機していたキャンプシップ内。
エリとメルフォンシーナを介抱していたエコーが、転移してきたリュードを見て呆然となる。
は、と我に返ったリュードは。

「ゼノ!!!あの馬鹿野郎!!!」

即座に、テレプールを起動させようとシップ内の操作盤へ走る。
困惑した表情のまま、エコーはリュードを見た。

「何が…どうなってるの?」
「俺を逃して、自分達が囮に…!!!」
「…!!!」

しかし端末は反応せず、テレプールも起動しない。

「くそ!動かない!!!」

恐らくはゼノが端末から操作して、入力を受け付けないようにしたのだろう。
怒りと、歯痒さと後悔。
リュードは思わず、両拳を操作盤に叩き付けた。

「こんな事をされて、嬉しいと思うか…!!!!」

直後。

「あ…な…なに…?!」

裏返ったエコーの声に、顔を上げる。

音のない宇宙空間に。
ナベリウスの地表から、突如巨大な「土の柱」が立ち上った。
それは次第に「腕」の形を取り、瞬く間に成層圏をぶち抜き。
その腕が次第に、何本も何本も、地表から生え出す。

「まさか…あんな大きい…あれがダークファルス…だっていうの…?!?!」

そして惑星ナベリウスを破壊する勢いで地中から「本体」が姿を表した。
禍々しい、闇の鎧を纏った巨大な、あまりにも大きすぎる「悪意」。

俺はあんな「もの」にされるところだったのか。
あんな醜悪な存在に。
「奴ら」の浅知恵など、到底及ばない存在に。
あんなものを、どうやって「コントロール」しようというのか。

「ゼノ…ゼノ!!」

必死に、エコーが自分の携帯端末を操作する。
震える手、震える声。
何度も、何度もその名を呼ぶ。

「お願い!応答してよ!戻ってきてよ!!ゼノぉ!!!!!!」

絶叫が虚しく、キャンプシップに響いた。
エコーの叫びをあざ笑うように、正体を表した【巨躯】は文字通りその巨大な躯体を闇に踊らせ。
そして突如、その巨体に似合わぬ早さで「転移」した。

…?!
どこへ…!?

直後、キャンプシップ内にビープ音が鳴り響く。

「何だ…!?」
『アークス本部より全アークスに通達!!!オラクル全域に第一級非常警戒警報発令!オラクルの駐留宙域に「ダークファルス」の存在を確認した!全アークスは直ちにオラクルに帰還せよ!!!繰り返す…!!!』

全身に鳥肌が立った。
あれが、オラクルに?
俺達が防げなかったあの「巨大な闇」が、オラクルに?
十年前、四十年前の悲劇が繰り返されるというのか?!
強制命令がキャンプシップに伝えられ、自動で「帰還軌道」へと入るキャンプシップ。

「ねえ…リュードさん…嘘よね…?ダークファルスが蘇って…オラクルが襲われてるって…」

壁に寄りかかったまま、力なくエコーは笑う。
無理もない。
だがこの状況で、自分を見失う事は自殺行為に等しかった。
リュードはその肩を掴んで揺する。

「しっかりしろ!俺たちが思考停止したらそれまでだ!!!」
「嫌よ…ゼノがまだ…あそこに…!!!」
「エコー!!!」

有無を言わさず、キャンプシップは転移ゲートへと突入。
オラクルの駐留域に出現した時。
二人の前に広がったその光景は、筆舌に尽くし難いものだった。

「…ば…かな…!!!!」

闇のフォトンによって紅く変色した宙域。
そこかしこで絶え間なく起きる爆発の光。
音が聞こえない分、それは「現実」として、彼らの目に飛び込んでくる。
ダークファルスから湧き出る途方も無い数の「腕」が、船団を飲み込むように破壊しているのだ。

『189番艦、224番艦、撃沈!』
『船団右翼に新たなアーム出現!支援要請願います!!!』
『54番艦撃沈!79番艦と通信途絶しました!!!』
『左翼前方の船団からの応答ありません!!』

通信に飛び込んでくる、次々に沈むシップの報。
情報が錯綜し、混乱が伝わってくる。
エコーは、窓の外の光景に乾いた笑いを浮かべ、ずるずると座り込んでしまった。

「オラクルが…壊されていく…」
「くそ…やめろ…やめろ…!!!」

窓にに拳を叩きつけ、リュードは叫ぶ。

「やめろ!!!エルダー!!!俺はここだ!ここにいる!!!」

ただの一人の声など届くはずもなかった。
彼らは為す術もなく、破壊され続ける己の故郷を見ていた。







その猛攻は、突然すぎたのだ。

十年前の事件など比較にならなかった。

アークスがその状況をようやく把握した時には既に、オラクルに存在するアークスシップの七割が破壊、撃沈、消失。


特に、船団の前方に位置していたシップの殆どが「ファルスアーム」によって破壊され。



人的被害は天文学的数字に上った。









オラクルは、崩壊した。






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