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PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(4)

時間開き過ぎの上もうEp2が普通に見られる状態になっちゃいましたが突っ走りますはい(開き直り)



この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方でなければ、ネタバレ状態になることをご承知下さい。

注意:初めての方はまずこちら↓
PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

PSO2二次創作小説「時の輪」(Ep1該当)

PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(Ep2該当)
プロローグ
(1) (2) (3)
 
 
 
(4)


ダークファルス・エルダーの襲来から、一ヶ月。


破壊されたシップを最外輪に配置して「盾」としている為、外側から見ればまるで「船の墓場」のようにすら見えたが。
崩壊しかけていた船団「オラクル」の復興は着々と進んでいた。
マザーシップを中心に、その周りを取り巻くように新造のアークスシップが数多く建造されていた。
足りない資材を補うため、資源惑星としては枯渇していた筈の惑星リリーパに新たな採掘基地が幾つも建造され始めるほど、作業は急ピッチで進められている。
勿論、損傷の少ないシップは生活が出来るように優先して修理され、鮨詰め状態だった避難民が移り住んで行った。
それを守るように、生き延びた十隻のシップが点在。
彼らの乗る「ナウシズ」も、その一つとしてアークスの重要な拠点となっていた。

「…戦技大会?」

ショップエリアの大きなオブジェクトの前で。
呼び出されてみれば、とリュードは思わず呆れ顔が出てしまった。
目の前に居る、クローズクォーターのショルダーに派手なガードを付けた男。

「あれ?知らない?このところモニターで流してるんだが!!!」

暑苦しい笑いを浮かべて、それはもう音がしそうな勢いで遠くに見える大型ビジョンを指す男。
その中で、目の前に居る男が何事かと大騒ぎしているが、リュードは冷ややかな目をして首を横に振る。
一瞬、しまったという顔つきをした男だったが、それをフォローするようにリュードの隣でエリが口を開いた。

「すみません、この人今までずっとメディカルセンターに居たものだから」
「ああそうかすまん!!あっはっは!」

と誤魔化すように高笑いをする男―ヒューイ。
これでも、アークスを率いる「六芒均衡」の末席「六」に位置する強さを持つ。
リュードは渋い顔をした。

「この時期に?」

対照的に、ヒューイはむしろ声を張り上げて弾丸のように喋りまくる。

「この時期だからこそだ!何せあの騒ぎでオラクル全体の士気がだだ下がり!アイドルの慰問も企画されてたりするが、これでは不味いと思ってな!」
「復興の方は大丈夫なんですか?」
「勿論復興は順調に進んでいる!故に我々アークスも本業に勤しむべきだ!何よりダークファルス復活で増えてしまったダーカーを蹴散らす目的がある!」
「そ、それはそうですけど」
「見れば君も相当『デキル』ようだ、どうだ?君も彼と一緒に参加してみないか!!!」
「え?!わ、私!?」

降って湧いたような話に、エリは目を丸くした。
これでもかとヒューイは不敵な笑みを浮かべて大仰にエリの鼻先に指をつきつける。
思わず身を引いた彼女にうんうんと大袈裟に頷いてみせるヒューイ。

「この大会のレギュレーションは、2人もしくは3人での参加!何より、リュード氏はこの前の戦闘での立役者だ!是非、是非2人の参加を頼みたい!」
「うーん…」

思わず、リュードは唸るように考えこんでしまった。
嫌いではない。
戦技大会と言うのだから、アークスとして己が持つ技を競い合うものなのだろう。
むしろ通常時なら喜んで参加していた筈。
だがこの混乱、まだ完全に船団が復興し切っていないこの時期。
何かまたこの裏側で進んでいるのではないのかと、そう勘ぐってしまう。
とはいえ、目の前の男にそんな「影」など見える訳もなく。
ふとヒューイはニヤリと妙な笑みを浮かべた。

「実は、この企画はレギアスとの共同で立ち上げているんだ。そこで是非にリュード君をと、レギアス自身が推しているのだよ?」
「…え」

あの六芒の一が?
思わず、ヒューイの顔を二度見してしまう。
嘘を付いているようには見えず、むしろ「これでもか」としたり顔をしている。
迷っているリュードに、エリは笑みを投げかけた。

「出てみましょうよ」
「…いいのか?」
「ずっと検査検査、筋トレしか出来てなかったでしょ?私もようやく元通りに腕が動かせるようになったし」

くるくると、エリは左手首を回してみせる。
リュードはエルダーとの戦いが終わってからずっと検査を受け続けていた。
エルダーを呼ぶ体質、同調するその瞳、【巨躯】と会話をしたその事実。
侵食されているのではないか、ダーカーが變化した姿なのではと疑われて居たのだ。
リュード自身もそれは承知の上で、あえてそれを受け入れていた。
それはあくまでも「表向きの研究部がアークス上層部の命を受けて」行っている事だと分かっていたから。
隔離されていたわけではないし、第一自分の体の事など「奴等」は調べる必要など無い位に熟知している筈。
はた、とリュードは我に返った。
レギアスの、戦技大会に自分を推薦するその「意味」。

あえて、目立たせる為に―?

リュードが考えあぐねている最中も、ヒューイの大声はショップエリアに響きわたっていた。
その為に、少なからず他のアークス達が彼らを取り巻くように集まってきている。
リュードとエリは少なからず、今の状況を非常に不味いと判断したのだが。

「諸君!よく集まってきてくれた!君たちも仲の良い友人で2人、3人一組でこの戦技大会に参加してくれないか!」

大仰に両手を振り回し、次々に他のアークス達へと話しかけ。
いとも容易く、その場の視線を己にと集中させる。
お構いなしにまくし立てるその姿は、自分が「広告塔」だと良く理解しての事だろう。
暫く考え込むように顎に手を当ててモニターを見た後、リュードは己の前に戻ってきたヒューイに頷いた。

「分かった、参加する」
「―よし!その言葉を待っていた!」

分かりやすい、今までにない程の笑顔を浮かべ、ヒューイは頷き。
それから、まるで道化のように跳躍したり、くるくると回ったりしてその場の視線を一身に集め。

「開催は明後日だ!皆も一緒に騒ぎ…いやいや、共に高め合う為に戦場へ!待っているぞ!!!」

相変わらずの妙な決めポーズと共に僅かに本音の出たその言葉を残し。
ヒューイは満面の笑みを浮かべてその場のアークス達に手を振り、それこそ風のように走り去った。
ようやく人だかりが薄れ、店舗の前に雑踏が集まるショップエリアに戻っていく。
既に、二人を気に留める者は居なかった。

「リハビリには丁度いいかもな」
「ふふ、ヒューイさん、とっても楽しそう」
「あれで六芒の六なんだから、馬鹿に出来ない」

やれやれ、とリュードは肩をすくめた。





―その時、ザリザリと視界が乱れた。
まるで周り全てが静止して、自分達だけがその「時間」から切り取られたような感覚は。

「―新たに生まれし流れは一つの支流。しかし、それは本流にまで及ぶ影響を抱く一つの事例である」

二人がその違和感に振り返ると、彼女はそこに立っていた。
エリは改めて、目の前に立つ存在そのものに目を奪われる。
リュードの「意思」によって彼の時間軸に巻き込まれたエリにとっては、尚更不可思議な存在でしか無く。

「…シオン、さん」
「幾重にも織り重なった事象が形を作り、収束を見せる」

理解し難い言葉を連ねる彼女。
リュードに事象の羅針盤―マターボード―を委ねたその人。
いや、人ではない。
リュードは勿論、エリもそれは感じていた。
一見、科学者風の女性の姿をしたその者は、少なくともその存在が『人ならざる者』である事だけはその容姿から理解出来る。
僅かに見えるその「身体」が、どこまでも深く蒼く透き通って揺らめいているからだ。
表情が無い、のか。
それとも表情というものを「知らない」のか。
眉一つ動かさず、二人を見つめている。

「二人共…良く、来てくれた」

リュードはその存在に一歩、近づいた。
その瞳に僅かに浮かぶ、後悔。

「ダークファルス・エルダーは復活した。俺ではない別の存在を依代にして。これはシオン、お前が望んだ未来なのか」
「…そこにあるものを悲劇と呼ぶか解放と呼ぶかは、貴方達自身が決めることだろう」
「解放?」
「識るだけで形成されるものは幻想。ことここにおいて必要なのは経験による認識だ」
「あえて『崩壊』を経験させたと、そういうの?」

エリの言葉に、目を閉じるその様は肯定にしか見えず。
リュードの表情に、幾ばくかの怒りが滲んだ。

「その為に、幾百…幾千万という人の命が消えたのに、か?」
「私と私達は導く。出来る限りの由を以てして。だが、それに従うかどうか、それを信じるかどうかは貴方達が自由に決めること」

あくまで、彼ら二人の意思を尊重すると、彼女はそう言いたいのだろうか。
表情を変えず、彼らの怒りすら飲み込んで、シオンは淡々と呟く。

「いかなる形で結末を迎えようと、それを貴方達が経験するのならば―――私は、それで構わない」

エリはその頑なまでのシオンの言に、じっと見据えてしまう。
何故、ここまで自分たち―いや、リュードに「見せ」ようとするのだろうか。
自分はあくまで、そのリュードに救われ、共に歩む事になっただけ。
何故彼なのだろう。リュードでなければならない「理由」が何処かに在る筈。

それを問いかけようとした時、異変が起きた。

「分析では、この辺りだと思うのだけどね」
「――!!!」

リュードはその「気配」に、反射的に振り返る。
何も無い、他の誰も干渉出来ない筈のその空間に、気配が突然降って湧いたからだ。
同時に、切り取られた筈のその「時空」が、元の喧騒のショップエリアへと引き戻された。
リュードの視線の先に居たのは、青白い服を着た細身の男。
白い髪、細面、何より薄笑いを浮かべたその顔の左目のタトゥが歪む。
シオンの「目」が、僅かに見開かれた。

「…誰だ?」

リュードはエリを背に守るように立ち、僅かに身構え、静かに口を開く―が。
男はまるで二人が目に入っていないかのように、彼らの傍らをゆっくりと歩き、その場を舐めまわすように眺める。

「―聞こえているかな、シオン。…はは、流石にまだ君の姿を見るには至らないか。僕は君の理解者でありたいんだけど…君はまだそうでもないようだ」

まるで舞台役者のようにあたりを大袈裟に見回して、男は笑った。
リュードとエリは一瞬、視線を合わせた。
シオンの存在を、知っている。
そして本来ならば知覚する事が出来ない筈のシオンを探している。

「色々と動いてるみたいだねぇ。歴史への介入、なのかな?面白い事をする。まあ、だからといって僕は怒ったりしないよ?君に嫌われたくないし、君の機嫌を損ねたくもないからね」

視線をあちらこちらに飛ばし、それはようやく「二人」へと止まった。

「どうだろう?彼女は聞いてくれたかな?」
「…何の話だ」
「知らない振りをしなくてもいいよ。僕は君に感謝しているのだから」
「感謝?」

ナルシストのように己の髪を撫で、二歩、三歩とリュードに歩み寄りその視線をあわせる男。

「僕の古くからの友人が生み出した『人ならざる人』―リュード・アレル君と、その制御を司るエリアルド・ライラ君、だったね」
「!!!」
「君達のお陰で、僕はここまで彼女を『理解』する事が出来たんだから」

俺達の事を、俺達を生み出した存在を知っている?!

一瞬でリュードの身体が総毛立った。
この感覚、この目、下卑た我欲の妄執の塊の笑み。
この男の気配に表情に、リュードは全身が凍りついたように動けなくなってしまった。
心の奥底に有る傷が疼く。
そう、同じ笑みを浮かべた存在を―彼は十年間見続けて来たのだから。
エリはその腕を後ろから掴み、男を睨み据えた。
そんな二人を男は嘲笑うかのように、もう一度視線を泳がせる。

「まあ、今日はこの辺で失礼するよ。彼らにも挨拶出来たことだしね」
「――」
「シオン、君が何故こんな事を続けるのか、今の僕には判らないが―それは、君と一つとなった時の楽しみにしておくよ」

それは、己から身を隠すシオンへ。
沈黙を守る彼女がそこに居ると知っているのだろう。
くるりとシオンに背を向けた男を、リュードは必死にかき乱された心を抑えて刺すように見た。

「…貴様は、何者だ」

あくまで上から見下ろすかのように男はゆっくりと顔を上げ、薄笑いを浮かべた。

「僕の名はルーサー。君達に研究部とか研究室とか呼ばれている所のリーダーだよ。では、また逢おう」

エリの、リュードの腕を掴んだままの手に思わず力が篭もる。
ルーサーはそのまま、まるで煙のように立ち消えた。
それは、ルーサー自身が「人ではない」事の表れだった。
ルーサーが消えた事を見届けてから、シオンがようやく口を開いた。

「―彼に私の姿は見えていない。私の声すら届いてはいない。しかし、彼は私を認識している。あれの存在こそが私が貴方達に全てを託す理由だ」
「ルーサー…あれは、あれは『何』だ?」

思わず口をついて出た言葉。
エリは我に返ったようにリュードの顔を見る。
血の気の引いたその顔には、動揺がありありと浮かんでいた。
青ざめたリュードへ、シオンは視線を合わせる。

「ルーサーは『全てを司る者』。虚空機関の総長にしてかつて人だった者」
「虚空…機関…???」

エリは思わずオウム返しにシオンへ問いかけた。
だが、シオンは僅かに視線を落とし…頭を下げる。

「原初の好奇を、私は後悔する。彼が歪んでしまったのもまた、私が存在したからだ。私は貴方達に謝罪する。貴方達に依存しなければならない事を…」

言葉から感じられるものは、その冷静さとは裏腹の果てしなく深い懺悔。
その言葉を残し、シオンは姿を消した。
リュードは一つ、深呼吸をし。
シオンの消えたその場を見据える。

「ルーサー…虚空機関…」
「知ってるの?」
「聞いたことは有る。オラクル行政府、軍部、研究部、そしてアークス。その全てを裏で掌握している組織があると…」
「それが、虚空機関…?」

ダークファルスの依代として己を生み出したのは「研究部の裏側」。
それが「虚空機関」ならば、ルーサーが二人の事を知っているのは当然。
しかし、ならば尚更、何故そこと繋がる自分をシオンは選んだのか。
その疑問が、頭から離れなかった。





同刻、ショップエリアの上の展望台。
他に人の姿は無いその場所から「リュードとエリアルド」を見る視線があった。

「あれが…ルーサー。フォトナーの…長」

少女の声が、何もない場所から聞こえてくる。
そこに佇む一人の男が、声に答えるように頷いた。

「フォトナーと呼ばれた存在はもはや彼だけでしょうから、間違ってはいませんね」
「じゃあ、今ルーサーに従っている者達は?」
「フォトナーになりたいと願う研究者が、背伸びしてそう言っているだけにすぎませんよ」

そこに居たのは、六芒均衡の三、カスラ。
カスラは遠くに見える二人から視線を外さず、言葉を続ける。

「巨躯の封印解除に、造龍の離反。目論見のズレが目立って苛立ったのか、とうとう姿を見せてきましたね」
「……」
「しかし、最初の接触相手があの人達とは……どういう因果なのでしょう」
「……そんなのどうでもいい。わたしは、わたしとハドレッドの運命を狂わせた相手を討つだけ」

他に人が居ないのを確認したのか、そこに不意に少女が現れる。
それは以前、リュードを襲い、造龍を追っていた「始末屋」の少女だった。
気配と姿を消す手段を持つその少女に視線を移し、カスラはほんの少し笑みを浮かべる。

「全てはあの二人…特にリュードさんが鍵です。分かっていますね?」
「…わたしはわたしのやり方で、戦います。貴方と馴れ合うつもりはありませんよ。それより、貴方の方こそ理解っているんでしょうね?」

諭すように言うカスラに、少女はあからさまな不機嫌な表情を返す。
その視線に込められた「復讐」の念。
だが、サイバーグラスの奥の瞳はそれに動じる気配はなく。

「全てが終わったら、この首この生命、好きなように扱って下さい」
「……気に入らない。全てを受け入れているようなその顔…」
「―そういう契約ですからね。貴方にもそれだけのリスクを背負わせていますし、約束は守ります」

苛々と少女らしい不安定さを表して、カスラを睨む少女。

「貴方の目的は、何なんですか」
「…今のところは、貴女と同じですよ」

あくまで飄々として笑うカスラに、少女はふん、と鼻を鳴らして再び姿を消した。
やれやれ、と小さくため息を付いて。
もう一度、階下のリュードとエリアルドを見据える。

「従順なのはここまでです。ルーサー、貴様だけは―」

そう独り言ちるカスラのその目元に、今まで誰にも見せた事のない殺意が溢れて居た。



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