PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(9)

もたもたしてたらEp3終わっちゃったよ…急がねーと(汗)



この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方でなければ、ネタバレ状態になることをご承知下さい。

注意:初めての方はまずこちら↓
PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

PSO2二次創作小説「時の輪」(Ep1該当)

PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(Ep2該当)
プロローグ
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
(9)



『聞こえるかい?』

通信とも違う、直接頭の中へ響いてくるような声がする。
龍祭壇で出会ったあの少年、シャオの声。

「ああ、聞こえる」
「…私にも聞こえるわ」

エリが戸惑いながら、辺りを見回す。
遺跡に降り立ったリュードとエリ。
エルダーの残滓が色濃く残るその場所で、彼らはその声を待っていた。
シャオの声はあくまで冷静。

『僕はあくまで、橋渡ししか出来ない。その先で起きる事は、全て君達にかかってる』
「…何をすればいいの?」
『それを決めるのも君達だ。君達が僕を信じてくれたように、僕も君達を信じてる』
「さて、どうなるやらな」

ある種の悟りのような笑みを浮かべて、リュードが呟いた。
エリはそれを見て、頷く。

「やるしかない、って事ね」
『さあ、始めよう。あの日、あの時へ』

リュードの腕にある事象の羅針盤-マターボード-が輝き始める。
その淡い輝きが2人を包んだ直後。
そこには誰もいなくなった。

直後、シャオがその場へ舞い降りてくる。

『僕は待つ…君達が歴史を変え、無事に戻ってくるのを』

そう呟いた顔は、期待と不安の入り混じったものだった。






星の鳴動。
己の心を震わせる空気。
変わらない、この身を切るような闇のフォトンが満ちた場所。

「…どうやら、戻ってきたみたいだな」
「それに…この感じは…」

さほど遠くない場所から、大きく禍々しい力を感じる。
しかし。

「こんなに酷い闇フォトンの中に居るのに平気だわ、私」

エリの探知の能力は、時としてその身を束縛する程の痛みを伴った。
だが今、それは殆ど感じられず。
その気配だけが、ひしひしと迫ってくる。

「これ、シャオ君のおかげなのかな…?」
「かもしれんな、俺も全くと言っていいほど影響を受けていない」

あの時、シャオから受け取った能力の一端なのかもしれない。
自分達の命を守る為だと言っていた。
今更ながら、彼の言っていた事は真実だったのだと受け入れざるをえない。

「…ホントに来た!シャオの言うとおり、ドンピシャね」

背後から、聞き慣れた声が飛んでくる。
振り返るとそこに、サラともう一人。

「おや、アンタ達は…」
「マリア、さん」

エリの言葉に肩をすくめて笑う、六芒均衡の二、マリア。

「そうかい、アンタ達が選ばれたのか。奇遇というより必然なのかね、これは」
「無駄話は後よ、急がないと間に合わなくなっちゃうわ」

急かすように、サラが視線を別の方向へ投げる。
釣られるように、エリはその方角を見た。

「間に合わない…?何をすればいいの?」
「愚問ね、あなた達はここに歴史を変えに来たんでしょ?」
「六芒の二たるアタシをこれだけ振り回すんだ、これから何をするかくらい説明して貰わないとね」
「もう、分かったわよ、目的地に向かいながら話すわ!」

走り始めるサラを追うように、彼らは駆け出す。

「と言っても、あたしもシャオから一方的に命令されただけ。あそこにいれば増援が来るって」
「それが、俺達か」
「きっとあなた達だってシャオからお願いされたんでしょ?『何か』をして欲しいって」

走りながら、マリアがサラの隣へ。

「その『何か』が分からないけど、少しばかりタイミングが遅くないかい?この反応からして、ダークファルスの封印自体はもう解けちまってるよ」

やはり。
この凶大醜悪な気配は「エルダー」が実体化した時のもの。
あの時、己ではなく、ゲッテムハルトを依代にダークファルス・エルダーは復活した。
ゲッテムハルトを慕った少女と、クラリッサを鍵として。
という事は。
自分の少し前を走るサラへ、リュードは視線を落とす。

「エルダーの復活を阻止するのが目的ではない?」
「その封印自体は解かれなきゃいけないものなんだって。そうじゃないとルーサーが表舞台に出てこないから」
「ルーサーを…引きずり出す為だっていうの?」

エリの言葉には、躊躇いがあった。
オラクルを壊滅状態にされるのが、ルーサーを引きずり出すための手段だと言うのか。
そこまでしなければ、奴の尻尾が掴めないと言うのか。
自ずと顔が険しくなるリュードに、マリアが気付く。

「さて、アンタはどう思う?エルダーの復活阻止が目的でないとするなら、アタシ達に課せられた目的は?」
「……」

ふと、リュードは思い出した。
あの後、自分達はどうなった?
負傷したエリと、メルフォンシーナをエコーが連れてキャンプシップへ戻り。
エルダーと戦おうとした自分は…。

「…そうか、あいつを救出するという事か!!!」
「あいつ…?」

マリアがリュードの変化に訝しげに問うた時。

「居た!」

サラの叫び声と共に。
闇のウロコで全身を包んだ醜悪な姿のエルダーが、その大剣でひと薙ぎした。
弾き飛ばされ、立ち止まったサラの元へ転がったのは。

「うっぐ…ふざけた強さしやがって!!!!」
「ゼノ!!!」

エリがすかさず駆け寄り、レスタをかける。
それに気付いて、ゼノが顔を上げて目を丸くした。

「…エリアルド!?何で…!?お前奴に腕を折られて…???」
「色々あってね、もう大丈夫だから」
「全く、俺を戦線離脱させた事は忘れんぞ」

リュードが、ゼノとエルダーの間に割って入るように立ちはだかる。
エルダーが剣を止め、リュードを見据えた。

『…貴様は…!』
「リュードの旦那…?!マリア姐さんまで…こりゃ夢か…!?」

次々に集まる者達に、ゼノは驚愕する。

「あたしとしても夢であって欲しかったけどね。あれが、エルダーだなんて」
「そうだよサラ。あれが40年前、アークスを、オラクルを崩壊させたダークファルス・エルダーだ」

サラが立ち尽くすその「元凶」へと視線を戻す。
その目には明らかに恐怖が入り交じって居た。
己を見据えるアークス達に、エルダーは。

『その声…その気迫…覚えがあるぞ、貴様』
「しばらく見ない間に随分人に寄せてきたじゃないか?アタシ達に負けて少しは学習したのかい?」
『以前は世話になったな…40年前…素晴らしき闘争であった。この上ない甘美なる体験…』
「昔話をする気は無いね。アンタ本調子じゃないんだろ?復活したばかりだからか、封印のおかげかはしらないが」

マリアのフォトンが、その場を飲み込むように膨れ上がっていく。
それは殺意か、執念か。
際限なく膨れ上がるフォトンに、あのエルダーが気圧されている。

「なら、この場でアタシが殺ってやれば全て丸く収まるんじゃないか?なぁ!!!!」
『む…!!!』
「さあ、潰してやるよ【巨躯】。40年前に出来なかった無念をこの刃にのせて、今アタシがアンタを殺る。
 六芒、三英雄なんてものを必要なくさせる為にな!来い!ラビュリス!!!!」

声と共に、マリアの手に「閻斧(えんぶ)ラビュリス」が転送された。
流石は六芒均衡と言うべきだろうか。
斧のような刃先を持つ巨大な槍をいともたやすく振り回し、マリアはエルダーに斬りかかる。

「姐さん、俺も…!!!」

それを見たゼノが、立ち上がろうとした。
エリがレスタを続け、怒鳴るようにそれを制す。

「馬鹿言わないで、こんな怪我で戦えるわけ無いでしょ!?」
「そうだ、怪我人は大人しくしていろ。サラ君も怖いなら下がっていてくれ」
「あ、あたしだって戦えるわよ!!」
「そうか?」

半ばからかうように、リュードはサラを見る。
そしてエルダーに向き直ったその顔は。

「…!!!」

サラが怯える程の、闘争心むき出しの表情だった。
マリアの気迫に乗せるように、リュードは己の闘気と共に「エルダーペイン」を抜く。
それは、エルダーが持つそれと似て異なるフォトンを抱いていた。
それに気付いたマリアの目尻が下がる。

「ほう、面白いものを持ってるじゃないか」

マリアの攻撃を凌ぎ、飛びのいた後でリュードを見たエルダーが。
初めて驚きを露わにした。

『…その剣は…!?…貴様は一体…?!』
「…貴様を斃す為の物だ、これで倒される事を喜べ…!」

一瞬、腰を落としたリュードは次の刹那に、エルダーの懐の中へ。
その速さは、闇の鎧を着込んだエルダーに避けれぬ程。

『な…んだ…と…!?』

深々と【巨躯】の体を貫き、その刃はエルダーの背の鱗を飛び散らせて突き出した。
そのまま、エルダーペインは闇のフォトンを次第に吸収し始める。

『ち…力が…!』

吸収された闇のフォトンは、リュードへ。
それが意味する所に、エリは気付いた。
それは、自殺行為にも等しかった。
このままでは。

「リュード!!!」

サラにゼノを託し、エリがリュードへと走る。
だが。
それを静かに制し、リュードが片手でエルダーペインを支えたまま、その身をエリに向ける。

「…大丈夫だ」

リュードの身体が、淡く輝く。
その光の中心は、心臓。

「…シャオ君の…!?」
「俺達の命を守るというのは、こういう事だったんだな」

そこにあったのは、シャオから受け取った「力のかけら」だった。
闇のフォトンを奪い、浄化する。
リュードがシャオに与えられた力の一つ。
エルダーペインの能力と相まって、その浄化の速度はエリが行うものとは比較にならない程早かった。

『貴様が…貴様らが成し得ているというのか…我らの力の減衰…消失を…!!!』

リュードを押し退けるように、エルダーは己の身を貫いた大剣を引き抜いた。
だが、一度光の方向へ流れ始めたフォトンの勢いはむしろ更に激しくなり。
エルダーの闇を根こそぎ削って行く。

『足りぬ…力も…身体も…何もかもが喰い足りぬ…!!!』

よろよろと、後退り。
闇の衣が崩れ落ち。
紫の髪をした、ゲッテムハルトの面影を色濃く残した顔が顕になった。

『…我が力…我が身体…どこだ…どこに…!!!』

辺りを探すように見回すエルダーの視界に入ったもの。
それは、あの紫色の巨木。
一つの山程の高さまであるそれは、エルダーの身体の一部であった。

『そこか…!!!』
「おい、よそ見するなよ?アンタは今ここでアタシが殺るって言っただろう!!!」

気を逸らしたエルダーに容赦なく、マリアの攻撃が振り下ろされる。
ラビュリスの刃がエルダーの身に食い込むと、それは超重力を生み出し、エルダーの身体を地に伏せさせた。

『ぐ…おおおおおおお!!!!』
「どうした、ざまぁ無いね。昔のアンタならこの程度の重力なんぞ断ち切っていただろ?」
『我が身体を…!』
「このまま朽ち果てろ、エルダー!!!」

ラビュリスが一際強く輝いたその瞬間。
その武器諸共、マリアは強烈な力によって弾き飛ばされた。

「…!??!」

何とか受け身を取ったものの、ラビュリスにはヒビが。
エルダーとマリアの間に立っていたのは。

「…【仮面】!!!」

ぞわ、とエリの背筋に怖気が走る。
黒い仮面を付けた、エルダーと同じ姿をした人ならざる存在。
そして今もまた、エルダーでも、マリアでも無く。
リュードを見据えて、立ち尽くしている。
マリアは突然の乱入者に、苛立ちを隠さずに呟いた。

「…また別のダークファルスだってのか…だがそのフォトンは…」

エルダーはその機を逃さなかった。
一瞬にして、己の身体である巨木へと身を躍らせる。

大地が、揺れた。

「…しまった…!リュード、サラ!ここは退くよ!!!!」

エルダーが復活する。
そのうねりが、大地を、大気を歪ませる。

「こっちへ!!」

エリは咄嗟に、テレパイプを投げた。
次々に、そこへ身を投じるが。

「…貴様だけは…!!!!」
「リュード!!!!」

エリの叫びと同時に、リュードは真逆の方向へ。
そこに居たのは、ペルソナ。

『…!?』

リュードは鬼神の如く、その刃を振り下ろした。
ペルソナもその行動は予測できなかったのだろう。
辛うじて、躱すのが精一杯だった。
エルダーペインの刃はその仮面を掠め、揺れる大地へと突き立つ。

『…ぐ…!』
「貴様は何者だ!何故俺を…!!!」

その時。
リュードの目の前で仮面にヒビが走り、左半分が地面に落ちた。

「…!!!!」

顕になった顔の半分が目に入った時、リュードは凍りついたように立ち竦む。

『…っくくく…』

歪んだ笑み。
紫に変質した、逆立った髪。
ダーカーコアのように赤く光る目と、左目から大きく頬へと走る傷跡。
だがその眉間の傷は見間違える筈もなく。
信じられん。
どういう事だ、これは!?

『…また会おう』

そう言い残し、溶けるように消えていくペルソナ。

「待て!!!」

追おうとするリュードの足下が、一際大きく揺れた。
このままでは、エルダーの復活に巻き込まれる。

「リュード!駄目よ!!!もう持たないわ!!!」

今しがた起きた事は、幸いエリには見えていなかったようだ。
まだ、言うべき時では無いのかもしれない。
テレパイプの所で叫ぶエリに視線を投げた後、もう一度ペルソナが消えた方向を見たが。
動揺を押し隠し、振り切るようにリュードはテレパイプへと走った。






へた、とエリが座り込んだ。

「ああもう…どうなるかと…」
「すまない」
「何とか全員無事だったようだね」

ようやくキャンプシップに帰還したリュードとエリを見て、マリアが笑った。
サラが同じようにべったりと座り込んで、溜息をつく。

「はー、もう沢山よこんなの…」
「あの程度で息を切らすなんて鍛え方が足りないよ、サラ」
「あんたが規格外だっての、ばかマリア。…それよりラビュリスは?」
「…何だい、アタシじゃなくて武器の心配かい?」

マリアの手の中にあった創世器は、今赤く錆びたように光を失っている。

「…あー、駄目だ。こりゃ十年ぶりにジグに頭下げるしか無いね…」
「ホント、無茶しすぎなのよ皆」

もう一度ため息をつくサラの隣で、ゼノが力なく壁に寄りかかっている。

「…リュードの旦那…エリアルド…悪いな、助けに来て貰っちまうなんて…」

エルダーがゲッテムハルトを依代に復活した時、ゼノは自分を犠牲にしてリュード達を逃がした。
本来の時間軸では、あのままゼノは戻らぬ人となっていた筈。
そんな自己満足な犠牲はもう見たくない。
リュードの顔には、知らず怒りが浮かんでいた。

「あんな事をされて喜ぶとでも思ったのか?」
「悪かったよ…。あんだけ威勢よく見栄切ったのに情けねぇ…」
「【巨躯】相手に一人で戦って生き延びてるのが奇跡だよ。ゼノ坊」
「その呼び方やめろって、姐さん。最初はカスラさんも居たからな。あの人もうまく生き延びてるだろうし」

カスラ、という名前にマリアの目が釣り上がる。

「カスラが一緒だった…?てことは、この状況はルーサーにも筒抜け…?」
「…どういう事だ?」

リュードの問いに、マリアの目が更に細くなる。

「ルーサーとカスラは繋がってる、って事さ」

自分に忠告すら残したあのカスラが、ルーサーの手駒?
俄には信じられないが、ありえない話ではない。
ふと、ルーサーに良いように使われていた始末屋の少女を思い出した。
クーナと同じように、カスラも駒として使われているのか?

「…いや、待てよ?今の状態だとカスラはゼノ坊が死んだと思ってるだろう。思わぬ拾い物…いやこれこそが目的なのか?」

マリアは、リュードを見据える。
シャオの願い。
ゼノを死から救うという「歴史改変」。
複雑な表情を浮かべるリュードに、マリアは困ったように笑う。
そんな二人を見て、ゼノは僅かながら安堵の表情を浮かべた。

「…ここに旦那が居るってことは、エコーやあの嬢ちゃんは無事なんだな。それだけは守れたのか」
「彼女たちは無事だが、守り切れたとは言い切れん」
「どういう…?」

言った途端、キャンプシップにアラートが鳴り響いた。
それはあの時と同じ、「オラクルにダークファルス・エルダーが出現」という報。
キャンプシップは同じように、オラクルの駐留域に転送され。
あの時と同じ光景が繰り返される。
入って来る通信のパニック状態まで。

「…何てこった…」

冷静にその光景を見据えるリュードとエリ。
いや、冷静なふりをしているだけ。
動揺したら、他の者達にあらぬ不安を抱かせる、それを知っていたから。

「…駄目だ、このままじゃ駄目だ…!オレは、オレは誰も守れなくなっちまう…!」

床に拳を打ち付け、ゼノが絞りだすように呻いた。
それを見下ろすマリアが居る。

「そりゃそうだろうよ、そんな道楽じみたハンターを続けてる限り、アンタには無理だ。まぁ、そういう馬鹿正直に意思を貫く奴は嫌いじゃない」
「姐さん…」
「だからゼノ坊、アタシがアンタを鍛えてやろう。守りたいものを守れるようになるまでね」
「…本当か?」
「勿論、貸しだよ?エルダーも止められなかったし、こっちにも思惑はあるからね」
「シャオには許可を得てるわ。もとよりそのつもりだったって」

当然のように言うサラ。
やはり。
「ゼノを救う」事が、目的だったのは間違いない。
それがどれだけ未来を変えるのかは分からないが。
破壊されるオラクルを目を細めて見続けるリュードに、ゼノはようやく立ち上がって肩を並べる。

「…旦那、迷惑かけてすまなかった、そして、その…ありがとな」
「それは俺じゃなくて、他に言う相手が居るだろう?」

正論を言われて、ぐ、と押し黙るゼノだったが。

「…それなんだが…エコーにはオレが無事だってこと内緒にしといてくれないか」
「どうして?彼女が一番貴方の帰りを待ってるのよ?」

待つ事の辛さ、苦しさを知っているエリだからこその言葉。
だが、ゼノは頭を掻いて苦笑する。

「そのほうが、あいつにとってもいい薬になると思うんだ。勿論オレにも…」

その言葉に、エリは押し黙る。
自分がリュードに頼っていたように、ゼノに頼っていたエコー。
エコーに知らず、依存していた事に気付いたゼノ。
事実、それまでゼノを追っていたエコーは自分の足で歩み出して居る。
自分自身が、リュードに頼らずに強く有りたいと願ったように。
エリは小さくため息をついてから、ようやく笑みを浮かべた。

「…心配させどおしなんだから、ちゃんと戻らないと駄目よ?」
「ああ、ケジメつけて必ず戻るよ。だから…それまでアイツの事、頼むわ」
「元気でやってるさ、心配するな」
「まるで見てきたような事言うんだな、旦那」

口を滑らせた事に、思わずリュードは真顔になった。
そして、その時に気付いた。
事象の羅針盤が輝き始めた事に。

「…さて、俺達は失礼するよ」
「そうね、もう行かなきゃ」

立ち上がり、二人は揃ってその場に居る者達を見る。

「旦那…?」

ゼノが僅かに怪訝そうな表情を浮かべると。
淡い光とともに、二人の姿が掻き消えた。
呆然とそれを見つめ、ゼノはぽつりと。

「あの二人…オレの想像も及ばないような何かを背負ってるんだな…」
「人事じゃないよ、ゼノ坊。アンタだって大変な事を背負う事になるんだからね」
「それってどういう…?」
「まあ、あとのお楽しみってやつさ」

からからと笑うマリアに、サラは苦笑して肩をすくめる。
ゼノは掻き消えた二人の居た場所を見据えて、頷いた。

「…旦那、エリアルド、この恩は絶対忘れねぇ。必ず返しに行くからな。それまで無事で居てくれよ?」




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