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PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(11)

やばいなぁ、もうEp4始まっちゃってるじゃないの(汗)



この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方でなければ、ネタバレ状態になることをご承知下さい。

注意:初めての方はまずこちら↓
PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

次にこちら。
PSO2二次創作小説「時の輪」(Ep1該当)

現在執筆中。
PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(Ep2~3該当)
プロローグ
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
 
 
 
(11)


「もうすぐ救難信号の発信地点よ」
「了解した」

気付けば、彼らの居る地域はすっかり暗くなっていた。
とは言うものの、星の瞬きや、あちらこちらにある朽ちた建造物を構成している鉱物がぼんやりとあちらこちらで輝いているせいか、真っ暗闇という程ではない。
目が慣れれば、足下ははっきりと見る事が出来た。

「…日が落ちるのが本当に早いわね」
「自転が早いのか、惑星の大きさはさほど他の星と差は無いようだが」

エリはふと立ち止まり、柔らかな笑みを浮かべて満天の星空を見上げる。

「ここから見る星は、リリーパとはまた違う感じね…」
「恒星系が違うからな、星の位置も違うだろう」

身も蓋もない言い方をするリュードに、エリは思わず頬を膨らませた。

「んもう、そういう事じゃなくて」
「言いたい事は分かるがな、そういうのは仕事を終わらせてからにしろ」
「…え」

既にエルダーペインを抜刀しているリュードに、エリは思わず身構えた。
気付かぬ内に、辺りには鳥型のダーカーが幾つも出現していた。

「…いつの間に!?」
「飛行型…音も立てないとは厄介な」

エリには、その内包するフォトンの大きさ故にダーカーをいち早く探知する能力がある。
だがしかし、この場所においては何故かそれが働かなかった。

「おかしいわ…この星…?」

疑問を口にするエリ。
以前、同じような感覚に陥った事がある。
それは「ダーカーの因子」が色濃く残されているナベリウスの遺跡。
まさか、この星にも何か…?
そのダーカー達は二人には目もくれず、波打ち際へと飛んで行く。

「…別の標的が居るのか…?」

リュードが独り言ちた。
その視線の先に何かが動く。

「…だ…誰か…助け…」

その声が聞こえるや否や、背を低くしたリュードが弾丸のようにダーカーの群れへと斬り込んで行く。
それを補佐するように、エリは彼の作った道を追わせるようにイル・ザンを放った。
風のトンネルはその内側が真空に近くなり、周りを飛んでいたダーカーを一気に巻き込んで風の刃を突き立てた。
次々にダーカーが力尽き、溶けるように消えていく。
その光景に震えているのは。

「あわ…わわわ」

カブラカンによく似た薄黄色の殻をもつ原生生物。
ふと、大きな丸い図体を空に浮かせた鳥ダーカーが鎌のような武器を持ってゆっくりと近づいてくる。
それが突然赤黒いかまいたちを放った。

「…!」

殻の中に手足を引っ込めて動かなくなってしまったそれを、リュードは抱えて飛び退き砂地へ転がった。
恐る恐る殻の中から目だけを見せてリュードを見上げる生物。

「た…助けてくれたんか…?」

カブラカンと同じ『喋れる種族』なのだろう。
声の高さからして雌。
ひょっとすると。

「…カマロッツか?」
「え?何であたしの名前?!」
「カブラカンから頼まれて探しに来た」

思った通り。
カブラカンの名を聞いて、リュードを見上げるその目に安堵が浮かぶ。
ダーカーから視線を外さず、リュードは話し続ける。

「…いいか、動くなよ。じっとしてろ」
「わ…分かったわ…」

カマロッツを地面に下ろすと、再び殻の中に引きこもった。
それを確認してから、リュードは一気に周りの雑魚をノヴァストライクで叩き落とし。
少し離れた場所に居た丸い図体の鳥ダーカーへ一気に肉薄する。
が、それから逃れるようにダーカーは消えた。

「!?」

直後、背後にそれは現れた。
一瞬反応が遅れ、リュードが振り返った時にはその鎌が振り下ろされようとしていた。
ガード出来るかどうかの瀬戸際。

「―甘いわ」

一瞬の後、小さな竜巻がダーカーを襲う。
竜巻に翻弄され、黒い羽を飛び散らせて地に落ちた。
間を置かず、リュードがそれを両断する。

「助かった」
「安心するにはまだ早いわよ」

リュードと背中合わせにロッドを構えるエリの視線の先。
次々に、同じ『丸い大きな鳥ダーカー』が出現した。

「厄介だな…飛んでる上に瞬間移動するのか」
「数も多いわ、どうする?」
「俺が引き付ける。援護を頼んだ」
「了解よ」

改めて武器を構え直す二人。
だがその直後。
ダーカーの一体が爆炎に巻き込まれた。

「何…?」

それは次々に引き起こされ、瞬く間に彼らの周りにいる鳥ダーカーは業火に焼きつくされ、消し炭となった。
ダーカーが消え去っても尚その攻撃は止む事は無く、一歩間違えばリュード達にまでその炎熱が振りかかる勢いだった。
数歩後ずさりし、カマロッツの所まで下がった所でようやくそれが止み。

「…!?」
「あー…すみません、人だったんですね」

暗闇の中から姿を見せたのは。

「…て、テオドール君!?」
「あぁ…エリアルドさん、あなた達でしたか…暗かったのでダーカーと勘違いしちゃいました、あはは」

以前、アークスシップ128番艦「テミス」がダーカーに急襲された時。
市街地で出会ったフォースの少年。

「今の、テオドール君が?」
「そうですよ?他に居ませんか?もっともっと殺したいのに―」
「お前…?」

光のない目、口元の歪んだ笑い。
以前の彼はダーカーに怯え、それでも子供達を庇っていた。
だが、今の彼の様子はそのおどおどした気配など微塵も無く。
言葉とは裏腹にだらりと両手を下げ、生気のない瞳を二人へと向けている。
その風貌に、カマロッツが怯えて殻に閉じこもってしまう程だった。
あまりの変貌ぶりに、エリは息を呑む。

「どうしたの?貴方そんな事言う人じゃなかったでしょう…?」

エリの言葉を、不思議そうに首を傾げ。
ゆらり、とその体を揺らして辺りを見回す。

「そんな事?だってダーカーを殺すのが僕達の仕事でしょう?ここは、凄くダーカーの気配が濃い…だから、もっともっともっと殺して殺して殺さないと…」

その目は、まるで夢遊病者のような。
夢と現の境目に居るような、何も見ていない瞳。
その瞳に、リュードは記憶があった。

「…何があった?」
「何が?何があった?あはは、何もなかったです、何も出来なかったんです―僕は」
「何も出来なかった…?」
「ああ、そういえば貴方達は彼女とお知り合いでしたね…」

ふと一人の女性が頭を過ぎる。
快活で、エリを先輩と慕い、アークスになりたいと必死になっていた一人の女性。
目の前の少年ととても親しかったはず。
ふらふらと歩き回りながら、思い出すようにテオドールは疲れた笑みを浮かべる。

「彼女、いつも元気で明るくて…僕を励まして…いや違うかな、僕はいつも叱られてばっかりだった。彼女の声…顔…懐かしいなぁ。どうして…もう会えないんだろう?」
「会えない?…まさか…」

思わず、口をついて出る。
リュードは思い出す。自分が「エリを失った」時の事を。
まるであの時の自分を見ているようだった。

「そう、そうだった、あいつら、あいつらのせいだった。あいつらが…ダーカーがアークスシップに攻め入ったりしなければ…後方支援だった彼女の元に現れたりしなければ…彼女が死ぬことなんて無かった…!」
「嘘…?!」

口を抑え、エリが首を横に振る。
絞りだすように、テオドールは呻いた。
抱えた己の両腕を、ガリガリと掻き毟る。

「いや、そうじゃない、その前に、僕が、僕が全てのダーカーを殺し尽くしていれば…こんな事にはならなかったんだ!!!!!!!」
「…!」

慟哭と共に、両腕から血が滴り落ちるのも構わずにテオドールは己を責める。
やめて、とエリが彼を止めようと駆け寄った。

ウルクがダーカーに襲われて死んだ…?

その事実に、リュードは立ち尽くしてしまった。
テオドールの、悲哀と憎悪に満ちた心を理解出来てしまったからだ。
エリを救う手段を手に入れた自分には、自傷を止める事はおろか声すら掛けられない。
嗚咽を、波の音が消していく。
幾ばくか過ぎた頃、パチパチと手を叩く音がした。

「いや、大したものだ。あいつらを歯牙にもかけないとは」

鳥肌が立つようなこの人ならざる気配。
リュードとエリは同時に、その声の主を見た。

「…ルーサー…!」

突如その場に出現したルーサーは。
名を呼ばれて拍手をやめ、薄ら笑いを浮かべて二人を見下す。

「おやおや、君達はあの場所に居た…?ここに来たのもシオンの差し金かい?」
「何を言っている、貴様こそ何故ここに」
「ああ、今用があるのは君達じゃなくてそっちの少年だ、心配しなくていいよ」

視線を向けられ、テオドールは乱入者にあからさまな不快感を示した。

「…何ですか貴方は。邪魔しないで下さい。僕はもっとダーカーを殺さないといけないんだ」
「そのダーカーを憎む心―素晴らしい、アークスの鏡のような行動原理じゃないか」

ルーサーはテオドールを舐め回すように見る。

「ダーカーが邪魔なのは僕も同じだ。だからその手助けをさせて欲しいという申し出だよ」
「手助け?」
「君の力は素晴らしい。だが、それは一個人である故にすぐ限界が見えるだろう」
「何が言いたいんです」

大げさに、くるくると其の身を踊らせて。
ルーサーはテオドールの前に立ち、両手を広げて笑った。

「そう…例えば、六芒均衡を超える程の力―全てを殺し尽くせる、そんな力を欲しくはないかい?」
「…全てを…」

ルーサーの誘惑に、リュードの全身が総毛立った。
己を実験体として捕らえ、切り刻んだ者の言葉によく似ていたからだ。

『宇宙を支配出来る力…そんな力を欲しくはないかい?』

フラッシュバックを必死に振り払い、リュードはテオドールとルーサーの間に割って入った。

「無粋だね…君には用がない、そう言ったはずだろう」

邪魔をされ、ルーサーはふてくされたような表情を浮かべる。
いつになく憤りを現し、リュードはルーサーを見据えた。

「黙って見ていられるか。貴様はテオドールを実験体にするつもりだろうが」
「流石はモルモットだっただけはある。よく分かっているじゃないか」
「開き直りか?」

『モノ』を見る目でリュードを見やるルーサー。
その視線をリュードの背後にいるテオドールに向け、再び薄ら笑いを浮かべる。

「どうする?僕は結構忙しくてね、君に声をかけたのもたまたまだ。即断できないようなら僕は行かせてもらうよ?」
「…待ってください、勝手に判断されても困ります」
「テオ…?!」

リュードを押し退け、テオドールはルーサーの前に立った。

「ふぅん…?」
「誰よりも強くなれる、そうなんですね?」
「勿論だとも。君がその気なら幾らでも…」
「馬鹿な事を考えるな!奴の言葉を鵜呑みにするんじゃない!」

リュードが怒鳴るのと同時に、エリがテオドールの腕を掴んだ。

「駄目よ!そんな方法で強くなったってウルクちゃんは喜ばないわ!!!」
「心配しないで下さい。誰よりも、そう誰よりも強くなって…彼女の死に報いるんです。きっとその先で、彼女は笑ってくれる筈だから…」
「テオドール君…!」

もはや、その意思は恐ろしい程に凝り固まり。
エリの手を振りほどき、一歩ずつルーサーの方へ歩き出すテオドール。
迎え入れるように両手を広げるルーサーを、リュードは刺すような視線で睨み据えた。

「そんな目で見ないで欲しいな。これは彼の決断なんだぞ?重大な決断を尊重してあげるのも、友達というものじゃないのかな?」

空気が、空間が、歪んだ。
含み笑いが響き渡り、ルーサーとテオドール、二人の姿が掻き消える。





「…くそ!!!!」

ガァンと大きな音を立てて、刃が岩に食い込んだ。
思わず持っていたエルダーペインを振り上げ、近くにあった岩に叩き付けていた。

「…傷付いたテオドール君の心を上手く自分の方へ誘導した…そういう事ね」
「同じだ…全部、奴らは皆…!」

利用するだけ利用し。
良いように弄び、切り刻み、必要がなくなれば捨てる。
それが研究部―虚空機関のやり方だと知っているからこそ。
自らその地獄へ足を踏み入れたテオドールを止められなかった自分に怒りを覚える。
荒れるリュードへ歩み寄り、エリはその腕を抑えた。

「今は任務の事を考えましょ。今、エコーにもカマロッツさんが見つかったって連絡入れたから」
「…すまん、つい、な」
「解ってるわ」

確かに、今はどうする事も出来ない。
大きく息をして、リュードはペインを背に戻す。
エリはふと、そのままになっていたカマロッツへと歩み寄った。

「…大丈夫?」
「あれ…なんやのあれ…」

ガタガタと、外から見ても分かる程にカマロッツは震えていた。
思わず抱き上げて落ち着かせようとするエリ。

「もう大丈夫だから。リュードももう武器を納めたし、テオドール君も…」
「違う!もう一人の不気味な奴の事や!!!」
「…ルーサーの事?」
「なんやのあいつ…あたしあいつの事…知っとる…知っとるけど思い出せん…」

あまりの恐怖に、前後不覚になっている様子。
カマロッツの余りの状態を、リュードが怪訝そうに見る。

「どういう事だ?」
「分からんわ!でもただ怖いって事だけは覚えとるんや…!」

この怖がり方は尋常ではない。
ルーサーがこの種族に何かをしたのだろうか?
そうしている内に、あっという間に空が白み出してきた。

「エリアルドー!」

遠くからエコーの声がした。
が、その声を更に打ち消すように。

「カマロッツぅうううううううううううう!!!」

絶叫と共に、砂を巻き上げる勢いで駆け寄って来るカブラカン。
足下を掬われ、エコーが転びそうになる。

「わたったったっ…危ないわねもう!!」

何とか体制を立てなおして睨むエコーなど構わずに、カブラカンが突進してくる。
カマロッツがエリの手から飛び降り、カブラカンに激突するようにひしと抱き合った。

「カブラカン…怖かった、怖かったわー!!!」
「おおよしよし、大変やったなぁ、もう大丈夫やで…」

頭を撫でて、カブラカンがカマロッツを宥める。
ひとしきり再会を喜んだ後。
カブラカンはカマロッツを抱えたまま、リュードを見上げた。

「兄さん姉さん、ホンマ助かったわ、カマロッツ見つけてくれておおきに!」

やれやれといった様子に思わず小さく溜息を付き、リュードは苦笑いした。

「もののついでだ、気にするな」
「あっちのねーちゃん、ホンマ役に立たへんでなぁ。変な機械だけ見つけたって喜んどって。兄さん達と探せば良かったわ…」
「…しっつれいね本当にもう!!」
「変な機械?」

朝日がその場に居る者達を照らし始める中で、エコーが小さな端末を引っ張りだす。
アークスが持つ携帯端末だった。

「これ。もうバッテリーが落ちちゃってる。誰かが落としたのね」
「ひょっとするとそれが『救難信号の発信源』かしら…?」
「うん、そうかもしれないと思って拾ってきたの」
「変だな、端末の発信源はこの辺りだった筈だぞ」

辺りを見回し、妙なことに気づいた。
朝日が昇り、それがはっきりと目に入る。

「…ひょっとして、潮汐力…潮の流れでそっちが見つけた場所へ流されたか?」

そう思えるほど、海の水が引いている。
戦闘を行った場所から、波打ち際がずっと遠くへ離れていたからだ。
エコーが頷く。

「確かに、あたしが見つけた時は水に浮かんでた。そのせいで壊れちゃったのかも…」
「だとすると、この端末の持ち主は何処へ…」

徐ろに自分の端末の通信スイッチを入れ、ヘッドセットへ手をやるリュード。

「アークス本部へ。こちらアークスID10005277:リュード・アレル。オペレータ、応答頼む」

暫くの沈黙の後、バタバタとスピーカーの向こうで音がする。
何だろう、この既視感。

「…」
『はいはいはい!!!』
「…君か」
『え、あ、はいメリッタですけど?』

間抜けな受け答えの主は、以前のテミスで応答したメリッタその人だった。

「…ウォパルで発信された救難信号の調査に来ているが、端末のみを回収した。持ち主の情報は来ていないか?」
『あ、はいはいちょっと待って下さいね。えーと…』

暫くの沈黙の後。

『あー!すみません、その端末の持ち主のアークスさん、帰還されてます!』
「は?」

思わず間抜けな声を出してしまった。

『えーと、ダーカーとの戦闘で負傷されて、帰還したそうなんですがどうも端末を落とした事に気付いてなかったらしくて』
「…ちょっと待て、じゃあこの救難信号は…」
『どうも端末の故障で、救難信号だけが誤送信されちゃったみたいで…あはは…』
「あははじゃない」

どうにも間の抜けた笑い声に、リュードはあからさまに不機嫌な声を上げた。
慌てて、通信の向こうで姿勢を正すような音がする。

『すいません、連絡が遅れました!申し訳ありません!ですのでもう大丈夫です!帰還してください!』
「…了解した…」

通信が切れた後、リュードは途方も無く大きな溜息をついた。
同時に通信を聞いていたエコーも釣られて肩を落とす。

「…なにこれ?骨折り損って事?」
「冗談じゃない…あのメリッタってオペレータはもう少し何とかならんのか…」

怒ったような呆れたような表情を浮かべるリュードに、エリは苦笑する。

「まあ、そう言わないで。行方不明になったアークスは居なかったんだし、カマロッツさんを助けられたんだから」
「何がどうなっとんのか知らんけど、オレらは感謝しとるで?」

笑っているのかどうなのか。
カブラカンは手をひらひらとさせて喜んでいる。
リュードは小さく息をついてから、昇った朝日に視線を投げて目を細めた。

「まあ、そういう事にしておくか…」

だが、つい先程起きた事は事実。
不意に真顔になるリュードに、エコーが怪訝そうに首を傾げる。

「…何かあったんですか?」
「ああいや、何でもない」
「そうですか…?」

思わず顔に出てしまった事を後悔しつつ、何とか取り繕って誤魔化すリュード。
エコーが首を傾げながらふとカブラカンを見ると。
数歩離れ、そこから振り返り。
カブラカンはカマロッツと一緒に目一杯頭を下げた。

「今日はおおきにな。ホンマ助かったわ。もしこの星の事で何か聞きたい事あるんやったら、いつでも来てくれや。オレらの家はそこのねーちゃんが知っとるから」
「知りたくもなかったけどね」
「…ホンマ口の減らんねーちゃんやな…折角礼言っとるのに」

エリは彼らの前に歩み寄り、しゃがみ込む。
その顔はアークスとしての険しいもの。

「今回は見つかって良かったけど、次また同じ事になったら命の保証は出来ないわ。気をつけてね?」
「肝に銘じるわ、ありがとな姉さん。兄さんも」

黙って頷くリュードに、カブラカンはもう一度手を上げて。

「ほな、オレらは帰るわ。またなー」
「さいならー」

朝日を背に、カブラカン達が帰る。
それを見送り、エリがようやく立ち上がった。

「さてと…私達も帰らないと」
「ホント、何だか疲れちゃった」

エリとエコーが顔を見合わせて苦笑する。
リュードは今一度、ルーサーとテオドールが消えたその場所を見据えた。

彼がもし、ルーサーの「手駒」として実験体にされたとしたら。
万が一その手先として敵対する事になったとしたら。

俺は、彼と戦えるのだろうか。

答えの出ない問いが頭を巡ったまま、リュードは立ち尽くしていた。


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