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PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(13)

全速力。


この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方でなければ、ネタバレ状態になることをご承知下さい。

注意:初めての方はまずこちら↓
「Black Dream」~黒い夢~(~Ep1前まで)
「時の輪」(Ep1該当)

現在執筆中。
PSO2二次創作小説「刻の爪痕」(Ep2~3該当)
プロローグ
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
(11) (12)
 
 
(13)


赤と黒の世界。
【巨躯】がオラクルを壊滅寸前にまで追い込んだ時の宇宙の色そのまま。
不思議と恐怖も焦燥も無い。むしろ懐かしさすら感じるのは、己の身を縛る因子のせいだろう。
それが決して良い兆候でない事はリュード自身も承知していたが、今はそれどころではなかった。
幾度と無く斬り、潰し、吹き飛ばしても、灯火に群がる小虫のようにダーカーが再現なく彼らを阻むからだ。
それでも、リュードはまだましな方だった。
メルフォンシーナは色濃いダーカーの因子に翻弄され、徐々にその力を削がれている。
ふらつき、血のような色の沼地に落ちそうになり。
廻りの有象無象を叩き潰した後、リュードは慌ててその腕を掴んだ。

「…大丈夫か?」
「あまり、平気では…ダーカーの瘴気が酷くて、息をするのも…」
「無理はするな、体力を温存しておけ」
「はい…」

その時、明らかに色の違う区画が在る事にリュードは気付いた。

「…フォトンが、ある?」

彼らが近づくと、そこに何かの機械のようなものが落ちていた。
自分の背にある武器に付けられた浄化装置とよく似た作用をした機材があったのだ。
そこを中心に、半径数メートルほどの円形に赤黒い地面が「本来の土色」に戻っている。
機材と共に、オラクルの言葉でメッセージが残されていた。

 ”…これを見ている人、居るのかな?
  君は諦めないで…ぼくは、疲れたよ”

以前ここで遭難したアークスが、小さな安全地帯を残したのだろうか。
そのメッセージが示すものは、絶望。
それを振り払うように、リュードは首を横に振った。

「…ここで、少し休もう」
「は、はい…」

立っていられない程にメルフォンシーナは消耗していた。
場の安全を確認する前に、その場へへたり込んでしまう。
万が一の場合に備え、持っていたソルアトマイザーを辺りに散布すると、メルフォンシーナがようやくひとつ、大きく息をした。
これで少しは回復するだろう。

リュードは辺りをもう一度ゆっくりと観察する。
気付いたことがあった。
どうやら、このダーカー因子が渦巻く場所は、元々アークスシップの残骸のようだという事。
あちこちに散らばっている残骸に見覚えのある物が多かったのも気になっていた。
オラクル文字が散見している場所もある。
そして、はるか頭上に見えている建造物がどうやら「市街地だった残骸」である事も見て取れた。
廃棄されたアークスシップを巣にしたのだろうか。
上下左右に視線を投げながら考え込んでいるリュードだったが。
小さなメルフォンシーナが更に身を縮めて呟いた。

「…ご迷惑をお掛けして申し訳ありません…」
「無理も無い、君の状態が普通なんだ。俺がおかしいだけだよ」
「…やはり、貴方様は…」

彼女はそこで、言葉を切った。
メルフォンシーナはゲッテムハルトと共に「L計画」のデータを見た筈。
リュードの正体を知っているのは当然。
だからこそ、「クラリッサ」を奪い、自分を追わせるようにあの地へ己を誘った。
リュードは背を向け、自分の装備を確認しながらこの赤黒い世界を見据える。

「…酷い場所だな」
「そうですね…。ゲッテムハルト様がいらっしゃったら、喜び勇んで大暴れしそうな程です」

エルダーとなってしまったゲッテムハルトに未だ心を囚われているメルフォンシーナ。
気持ちを紛らわせる為だろうか、独り言のように言葉を続けた。

「私がお会いしたばかりの頃のゲッテムハルト様は、猛々しさこそあれ暴力的ではありませんでした」
「……確かに」
「姉さんと一緒に、幼い私の相手をしてくれたゲッテムハルト様は…優しくて…強くて…」

その言葉に、リュードの心に痛みが走る。
そう、今目の前に居るのは。

『―だけど、それを壊したのは、私』
『彼らを殺したのは、俺』

「え…!!?!?!」

メルフォンシーナが思わず座ったまま武器を構え、後ずさった。
地を這うような声が二つ。
赤黒い地面から、赤黒い何かが二つ、沸き立つように生まれた。
それは瞬く間に人の形を成し。
ゆっくりと、ゆっくりと、二人へと近づいてくる。

「…リュード様?!…そして…わ…私…!?」
「……ダーカークローン…?!」

リュードは思わずエルダーペインを構える。…が、その手が僅かに震えていた。
目の前に立ち尽くして自分達を見ているのは。
まるで全身に血を浴びたような自分自身と、隣に居る少女そのままの姿だったからだ。
これが、そうなのか。
気味が悪いほど似ている。

『十年前―ダーカーの襲撃。私を守るために―私がでしゃばったばかりに―』
『ダーカー襲撃に紛れて、俺は仲間を殺した―全ての仲間を―』

ざあっと、記憶が揺さぶられた。
たかがダーカークローンが何故それを知っている。
何故、今そんな事を言う。

『私が―出しゃばったばかりに―姉さんは―』

ゆっくりと手を伸ばすメルフォンシーナのクローンが、直後竜巻に巻き上げられた。
巻き込まれるようにリュードのクローンも舞い上がり、二体ともが地面に叩き付けられる。
そのまま崩れて消えていくのを、ウォンドを構えたメルフォンシーナが荒い息のまま見据えていた。

「…そんな…そんなことないっ…」
「……」
「先に…進みましょう…」
「…そうだな…」

動揺を隠し、リュードは頷く。
そうしてまた、彼らはダーカーを相手にし、当て所無く彷徨い。
再び、先ほどと同じような安全地帯を生み出す機械と、メッセージを見つけた。
今度は、リュードがどっと腰を下ろす。
それを見て、メルフォンシーナが小さく呟いた。

「…先程の、私の紛い物の言葉…聞きましたか」
「……」

答え倦ねていると、哀しく彼女は笑う。

「忘れてください…全ては終わった事です。十年前に起こった事も、ゲッテムハルト様が変わられてしまった事も…全部」

『その原因は、俺が生み出した。俺が、彼らを殺したから』
『私はただ、姉さんのようになりたかっただけ』

再び、響くその声。
リュードは片膝立ちに、声の主を睨み据えた。

「…くそ…また…!」
「どうして……!」

前のクローンよりそれははっきりと形取り、彼らへと近づいて。
表情もなく、赤黒い姿のまま、彼らの姿をしたその何かはぶつぶつと呟き続ける。

『皆、死んだ。死んでしまった。ゲッテムハルト様は私を守ろうとして、皆を守れなかった』
『俺が殺した。メルフォンシーナも、リーダーも、皆』

その言葉に、隣に居た少女が自分を見たのが分かる。
だが、見る事が出来なかった。
それが事実だったから。

『でも、私は嬉しかった―皆死んで、ゲッテムハルト様の側に一人で居られるようになったから』
『俺は嬉しかった―自分が、強くなったのだと。仲間を凌ぐ強さを持てたのだと』
『私は姉さんと代わりたかった、だから、私はあの時に―危険と言われたのに―』
『全てを凌ぐ力が欲しかった―何者にも、何物にも負けない力が―』

二人の心を抉る、二人の言葉。
直後、二つのダーカークローンは真っ二つになった。
メルフォンシーナは我に返り、隣で大剣を構える男を見上げる。

「…黙れ…!!!!!」

リュードの顔に、怒りと焦燥が浮かぶ。

「何のつもりだ…何故こんなものを…!!!」
「リュード様…」

リュードはメルフォンシーナを見る事が出来ないまま、その場所から駈け出した。
八つ当たりのように、ダーカーを斬り捨て。走る。
もやが掛かったような記憶が次第にはっきりしてくると同時に、自分の犯した罪の重さがのしかかって来た。
そうだ。はっきりと思い出した。
十年前の、あの時の事を。

「―!!!」

瞬間、リュードの肩を鋭い痛みが貫く。
我に返って振り仰ぐと、キャンプシップに搭載されていた筈の戦闘機が目の前でホバリングしていた。
メルフォンシーナの顔が綻ぶが。

「…救援…?」
「いや、違う!!!」

リュードは叫ぶのと同時に、メルフォンシーナを抱えて岩陰に飛び込んだ。
直後に、自分達が立っていた場所の地面が瞬く間に穴だらけになり、煙が立ち登る。
戦闘機はその位置から離れようとせず、彼らが出てくるのを待っているかのようにじっと空に浮き続けていた。

「…!?」
「あれも、敵だ。ダーカーに乗っ取られたのかも知れん」
「そんな…!」

ズキリと肩を貫いた銃槍が傷んだ。
顔をしかめるリュードに、メルフォンシーナは慌ててレスタを施す。

「…すまない」
「いいえ、私に出来るのはこの位しか…」
「違う」

リュードの瞳に、影が落ちた。

「俺は、君の姉さんを、一緒に居た仲間を、全員―殺したんだ。十年前に」
「…!!!」
「君が『メルフォンシーナ』と名乗っていた事が不思議だった。何故今まで忘れていたんだろうな…」

十年前の事を思い出そうとすると、何故かブレーキが掛かったように思考停止する。
自分の罪に耐えられずに、自分自身で忘れようとしたのかとずっと思っていた。
断片的に残っていた記憶が、繋がる。
操られて居たとは言え、己の手で仲間を殺してしまった事を。
メルフォンシーナはレスタの手を止めず、僅かに俯く。

「私も、何故か忘れていたんです…私が何故この名を使うようになったのか…」
「君は…あの時に、あの場所に居たのか」
「いいえ…私は、駄々をこねたのです。ゲッテムハルト様に認められたくて、ゲッテムハルト様を足止めして」
「そうだ、ゲッテムハルトは居なかった」

あの日。
市街地に湧き出たダーカーを掃討する為に、かつてチームを組んでいた仲間と共に戦っていた。
だが、そこにゲッテムハルトは居なかった。
「リュードと一緒に戦う位なら単独行動する」そう吐き捨てて。
そこに居たかつての仲間の一人、”メルフォンシーナ”は笑った。「後で私がなだめておくから」と。
その直後に。
彼は、操られたのだ。
舞い降りてきたダーク・ラグネを見た瞬間、全てが真っ白になった。
心の奥から湧き上がり、溢れる破壊衝動が止められなかった。
最初に斬り捨てたのは隣に居た同僚だった。
次に、その隣、そしてまたその隣。
信じられないと言った顔で倒れていく仲間。
恐怖と怒りを浮かべて死んでいった同僚。

「俺を止めようとした”メルフォンシーナ”さえも、俺は躊躇無く斬り捨てた…」
「操られて…いた…」
「言い訳はしない…それが俺のした事だ」

レスタをかけ続ける手が、震えている。

「いいえ…私も…」
「君も…?」
「私は…姉さんとゲッテムハルト様が、二人が自然に笑っているのを見ているのが好きだった…それだけで良かった…のに」
「……」
「もっと私を見て欲しかった、私だって出来ると見て欲しかった。姉さんに並ぶんだと、欲を出した―そう、私は姉さんになりたかった、ゲッテムハルト様と共に歩む姉さんと代わりたかった」

掛ける言葉が見つからない。
彼女の目から大粒の涙が落ちた。
レスタも止まり、己の犯した罪に苛まれ、苦しんで居る。
小さな嫉妬が生み出した悲劇と、意図的に生み出された悲劇が重なった。

『それはもう、叶わない』

三度。
彼らの廻りに、クローンが湧き立つ。
しかも、今度は二体どころではなかった。
何体も何体も、リュードとメルフォンシーナに似たクローンが湧き出ては、ゆっくりと歩み寄ってくる。

「…!!!」

『ゲッテムハルト様を私が足止めしたばかりに、皆の下へ辿り着くのが遅れた』
『自分を貫いたのは、偽装だった。自分が犯人だと思われたくなかった』
『ゲッテムハルト様と一緒に辿り着いた時には、もう既に誰も生きては居なかった』
『死んで罪から逃れたかった。そうすれば全てが闇の中へ消える』
『誰もが慰めの言葉をくれた。仕方がないと言ってくれた』
『死ねなかった俺を待っていたのは、人として扱われない地獄のような十年だった』
『でも、私は知っている』
『俺は知っている』
『それは、決して仕方がない事ではない』
『そんな言葉で片付けられる物ではない』
『ゲッテムハルト様は、壊れてしまった』
『ゲッテムハルトを、壊してしまった』
『全ては、罰』
『全ては、罰』
『欲張った私に対する、罰』
『力を求めた俺に対する、罰』

十重二十重に、彼らを責める己自身。
手にした武器を持つ手から力が抜け、大きな音を立てて地に落ちた。

『ゲッテムハルト様は復讐にかられ、二度と笑わなくなり…やがて私を、シーナと呼ぶようになった』
『俺は記憶を幾度と無く消され、数え切れない人を殺した。いつしか、考える事すらやめるようになった』

もう、いい。
このまま朽ち果ててしまえば、楽になる。
そんな声が聞こえた気がした。





『つまらぬな、いつから貴様はそんなつまらぬ人間になった』

轟音と暴風。
それと共に、クローン達が木の葉のように薙ぎ払われ、地に叩きつけられた。
二人が我に返ると。
そこに、人の姿をした「ひとでないもの」が立っていた。

「―貴様!!!!!」

ダークファルス【巨躯】(エルダー)。
人の姿をして、彼らの前に佇んでいた。
その面影は未だ、ゲッテムハルトのまま。

『余興程度にはなるかと思ったが、…やはり、この仕組みは気に食わん。つまらぬ。滾るものがない』
「…何故貴様がここに…」
『義理は立てるが、義務は無い。もはやこれまでだな』

リュードは眉間にしわを寄せ、エルダーペインを拾い、構え直す。

「どういう意味だ…?誰か仕組んだ者が居るとでも?」
『貴様とはよほど縁があるようだ、場所を改めてまた相見えたいものだな』
「俺の質問には答えられんのか」
『…その必要はない。何れ知るであろう』

ギリ、と歯ぎしりを立てるリュードへ、口の端を釣り上げるような歪んだ笑みを浮かべるエルダー。
メルフォンシーナが震える手でウォンドを掴み、一歩前へ。

「…エルダー…」
『貴様は…この身の者と共に我を呼んだ…?』
「ゲッテムハルト様を、返して…!」
『何?』
「ゲッテムハルト様を…私から奪った…ゲッテムハルト様を返して!…返してっっ!!!!あの人を!!!!!!」

最後は、泣き叫ぶように。
懇願するように、前へ、前へと。
知らず、メルフォンシーナは詰め寄る。
エルダーは小さく鼻で笑い、ふわりと浮かび上がる。

『…ふん。呼び寄せたかと思えば、今度は返せだと?人はつくづく身勝手なものだな』
「そ…それはっ…!」
『だが、その身勝手さ故に我らが生まれたと考えれば、感謝すべきなのかもしれんがな』

しばし考える素振りを見せたエルダーだったが。

『小さき存在よ、貴様の名は?』
「…!…わ、…私は…!!!」
『答えられぬか、小さき者よ』

エルダーのくつくつとした笑い声が、あたりに響き渡る。
それは本当に、今の状況を心から楽しんでいるようで。

『この存在取り戻したくば、その細身細腕で我が身を砕いてみせよ。―この身の者が、かつて貴様に望んだように』
「―!!」

そう言い残し、エルダーは掻き消えた。
がくりとメルフォンシーナは膝をついて、エルダーが消えた虚空を見上げる。

「ゲッテムハルト…さ…ま…」
「……」

沈黙が、場を満たす。
まるで悪夢を見ていたような。
現実離れした経験に、二人はただ呆然となるばかり。
あれほど騒がしく自分達を取り巻いていたダーカーの気配も消え。
突然、ザリザリとヘッドセットのスピーカーにノイズが走った。

『―ます…!聞こ…すか!!!』
「…!」

リュードは急いで端末を操作し。

「…こちらアークスID10005277:リュード・アレル。聞こえるか」
『―リュードさん!!ああ!ご無事ですか!!!』

普段は落ち着いているブリギッタの声が、上ずっている。
背後の音の慌ただしさが、状況を伝えてきた。

「ああ、二人共無事だ。何とか生きてるよ」

ようやく、通信が繋がった。
しゃがみこんだまま呆然としていたメルフォンシーナだったが、ほっと安堵したように顔を綻ばせる。

『テレメトリがなかなか掴めず、位置情報を特定するのに手間取ってしまって…申し訳ありません』
「サルベージは可能か?」
『はい、今すぐこちらから座標固定のテレパイプを送ります!救助のキャンプシップに繋がっていますので、安心してください』
「了解した」

言うか言わないかの内に、目の前にテレパイプが設置される。
通信を切り、座ったままのメルフォンシーナに、リュードは手を差し伸べた。

「…立てるか?」
「……」

しばらく迷うように目を泳がせていたメルフォンシーナだったが、おずおずとその手を掴む。
少しばかり強引に立たされた彼女だったが。

「ご迷惑をおかけしました…本当に」

俯いたまま深々と頭を下げるメルフォンシーナに、リュードは苦笑する。

「大丈夫か?」
「私は大丈夫です。…当面の目標も定まりましたから。リュード様もお気になさらず…」

顔を上げた彼女の顔は、どこか吹っ切れたような強い目をしていた。
やはり、女は強い。
リュードは僅かに頷く。

「お互い様だな」
「ただ…今回の事は他言無用に願えますか」
「…勿論だ、誰にも言わないし…言えないよ」

己自身に改めて突き付けられた罪。
それが誰かの仕業か、それとも己の心が生み出した幻だったのかは分からない。
だが、あれが「現実」だった事は、治りきっていない肩の傷が示している。
目の前の少女はもう一度俯き。

「…迷惑ついでにもう一つ、覚えて置いて欲しい事が…」
「ん?」
「…私…私は、メルランディア。それが本当の名前です」
「!」

リュードは驚いて、目の前の少女を見た。
メルフォンシーナ―いやメルランディアは顔を上げ、ようやく歳相応の顔で笑う。

「今はまだ使うわけにはいきませんけれど…貴方には覚えておいて欲しくて…」
「…分かった」

リュードも小さく笑い返し、テレパイプへと視線を投げる。

「さあ、帰ろう」
「はい」

この事は、エリにすら言う事は出来ない。
リュードはそう、心に秘めた。
それが、彼女―メルランディアとの約束。
過去は変える事は出来ないが。
自分が生き延び、彼らを忘れない事。
その上で、前を向いて歩き続ける事。
それが、ゲッテムハルトを始めとするかつての仲間への贖罪。
きっとメルランディアも同じなのだろうと、そう思った。



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