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PSO2二次創作小説「時の輪」(3)

この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」をある程度進められている方(おおよそ3枚目をクリアした後くらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

初めての方はまず

PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

をお読みになる事をお勧めします。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2)


↓PSO2二次創作小説「時の輪」(3)
「これは・・?」

手元にある電子署名の入った辞令。
朝早くに総督室へ呼び出されたリュードとエリの双方に送られたもの。
ホログラム上に書き出されたその文面に、リュードは一瞬躊躇した。
目の前に居るのは、この船の最高権力者。

「時間がかかったが、ようやくこの辞令を出すことが出来たよ」
「いや、しかし・・・」
「私じゃ不満なのかしら?」
「そういう意味じゃない」

隣で意地悪く笑みを浮かべるエリに、リュードは慌てて首を振った。

とんでも無い。
自分には、身に余る。

辞令の内容は、「エリアルド・ライラをパートナーとする事」。
ゼノとエコーのように通常時から二人で行動する事を「正式に」認められた事になる。
今までのように、隠れるように情報を交換せずとも良くなる。
しかし、とリュードは一歩前に出て総督と正対した。

「『俺』と一緒に行動するリスクを考えて戴きたい。唯でさえマークされている俺の側にエリを置いておく事は・・」
「私はそうは思わんがね」
「・・・?」

一息ついてから、総督「ヒース・グラハート」はリュードへ視線を戻した。

「私は君を逆に『一人』にしておく事の方に危機感を感じている。我々の目の届かない所で、『奴ら』に新たな手段を講じられてしまっていたら君は一人で対処できるのかね?」
「そ・・・それは・・・」
「元々アークスは二人一組で行動させるのが基本だ。事情を知る彼女が一番の適役だろう。それに、彼女の強さと優秀さは一番君が解っているのではないか?」
「・・・・」

勿論、エリも厳しい訓練と試験を経てアークスに正式採用されている。
下手な男よりも遥かに腕が良い事は、重々承知している。
2年とはいえ実戦を重ねてきた彼女と、ブランクのある自分とでは雲泥の差。
そんな事は分かっているのだ。

彼が気にしているのは、そんな事ではない。
動揺するその顔に浮かんだ本音。
唯でさえ、自分の時間軸に巻き込んだ彼女をこれ以上危険な目に晒したくはない。
隠し事の出来ないリュードの表情に、ヒースは笑みを浮かべた。
リュードの肩を叩くその目は厳しくも優しい、父親。

「君は、もう少し『他人を頼る』事を覚えた方がいい、今後の任務の為にもな。・・・最も、君の歩んできた道を考えたら容易い事ではないだろうが」
「・・・・はい」

困惑したままのリュードを横目に、ふとヒースはエリに視線を送り、笑う。
よろしく頼むよ、とその目は言っていた。
多少強引にでも「他人が近くにいる」事に慣れさせる為の総督の配慮。
エリには、その心遣いが堪らなく嬉しかった。

「この話は以上だ」
「了解しました」

エリとリュードは揃って踵を合わせ、敬礼する。
ふと思い出したように、ヒースは自分のワークデスクへと歩み寄った。

「そうだ、君達に依頼がある。無鉄砲な科学者からの依頼がね」
「依頼、ですか?」

困ったように首をすくめて、ヒースは一つの依頼データを二人の端末に送信した。
エリがデータを確かめながら、首を傾げる。

「地質調査、ですか?」
「地質学者のロジオという男なんだがね」
「ロジオ・・・?」
「リュード君は聞き覚えがあるだろう。先日君が引き受けた依頼の主だ」
「・・あの調査の、ですか」

先日の任務。
途中でゼノが乱入し、あっという間に依頼が終わってしまった「ナベリウスの地質調査」。
その依頼主の名前が、ロジオだった。

「困った事に、このロジオという科学者はアークスでもないのに『好奇心』を優先させて、要らぬ部分にまで首を突っ込む質(たち)なのだ。今回もどうもそんな雰囲気があってな・・・先日発見された『凍土』の事は知っているだろう?」
「ええ」

もう一つのデータが、程なく送信されてくる。
ホログラムに映された画像は「一面の雪世界」。

「そこの調査をすると、誰彼かまわず声をかけているらしいのだ。『森を抜けたらいきなり環境が変わるなんておかし過ぎる、調べたい』とね」
「それが、危険な調査だと言うのですか?」
「他のアークス達は依頼料が安すぎるのもあって一笑に伏しているのだが・・・」

エリの疑問に、ヒースの顔が厳しいものになる。

「私もこれはおかしいと思っていた。極地でもないのに突然に氷の世界が開けている。これは追って私も調査しようとしていた事なのだが、この男は単独でそれをやろうとしているのだ」
「確かに・・・危険ですね」
「この『不自然な環境』には何か『意思』を感じる。君等にはこのロジオという男の監視も兼ねて、この依頼を受けてもらいたい」
「・・・・」

もしもその「不自然さ」が「奴ら」に繋がるとしたら。
この「ロジオ」という男は自らその「秘密」に首を突っ込んでいることになる。
命の危険さえ、見え隠れする。
言葉にはしないが、総督の懸念はそういう事なのだろう。
エリは頷いた。
リュードの顔を確かめずに。

「承知しました。お引き受け致します」
「エリ?」
「他に誰が居るの?この男性を助けられるのは私達だけよ?」
「頼むよ」

有無を言わさず、エリは敬礼した。



総督室を後に転送装置でロビーに戻ってくると、いつもの喧騒が彼らを取り巻く。
その中を、振り返りもせずにエリは歩いて行く。
その様子にリュードは思わず立ち止まった。

「エリ」

雑踏の中で、エリは背を向けたまま立ち止まる。

「俺は、君を信頼していたつもりだったんだが・・・そうではなかったと言う事か?」

本当に、バカが付いてしまうくらい真面目。
この男性(ひと)には「いい加減」という言葉は無いのかしら?
エリはため息をついて、くるりと振り返った。

「そうね。私には何一つ話してくれないわよね?その割に、私を危険から遠ざけようとする」
「・・・悪い」

自分を騙せない上、果てしなく不器用。それは今まで一人で生きてきた代償。
自分の傍に居る存在に対して、どういう態度を取ればいいのかが分からない。
信用しては居るが、信頼はしていない。
信頼する手段を「知らない」のだ。
こればかりは、誰が教える事でもない。
自分で理解する以外に、道はない。

「とにかく、私はこれから貴方のパートナーよ。勝手な単独行動は謹んで」
「・・・分かった」

渋々承知するリュードに、エリは苦笑しながらも頷いた。

「じゃあ、依頼主に会いに行きましょうか」
「今からか?」
「もう連絡を取ってあるわ。ショップエリアの3階で待っているそうよ?こういう話はちゃんと本人から聞かなきゃ」

この「行動の速さ」には、毎度驚かされる。
この短い時間の間に、いつコンタクトを取ったのだろう。
それが頼もしくもあり、不安でもある。
リュードは小さく息をしてから、頷いた。

「わかったよ、行こう」

ロビー中央の「展望台」直通のゲートに入ると、普段とは違う光景が目に入る。
ショップエリア上部には、遥か彼方に広がる「市街地」までが一望できる、唯一の「展望台」が備え付けられていた。
とはいえ、そこもあまり人の気配は無い。
時折、非戦闘員である一般市民が見物に訪れる程度だった。

「・・・えーと、エリアルド、さん?ですか?」
「え?」

何処に依頼主が居るのかと視線を投げていると、背後から声をかけられた。
緑の服を身にまとった、華奢な男性。
一見科学者には見えない。
ずり落ちたメガネを上げて、笑った。

「依頼を受けて下さった、アークスの方ですね?」
「ええ、貴方が?」
「はい。私がロジオです。無理な依頼を引き受けて下さって本当にありがとうございます」

礼儀正しく頭を下げるロジオに、エリは頷いた。

「改めて、私はエリアルド。こっちはパートナーのリュード。よろしくね」

リュードの名前を聞いて、ロジオは一瞬目を屡叩かせた。

「リュードさん?・・・あれ?先日の依頼を受けて下さった・・・?」
「ああ、俺だ。だから事情は分かっている」
「そういう事だったんですね?心強いです。説明する手間も省けます」

途端に、安心したように顔を綻ばせるロジオ。
本当は俺が集めたんじゃないんだが、と言いたかったが。
それを言った所で混乱させるだけだろう。
手元のデータを何度も確かめるように、ロジオは頷いた。

「リュードさんの集めて下さったデータをくまなく調べたんですが・・・どうにもおかしい部分が多いんですよ、あの星」
「あの星、って、ナベリウスの事よね?」
「そうです。地質的にも、不自然な点が多すぎるんですよ。その上、今回の『凍土』発見。益々解らなくなってしまって・・・」
「だから今度は『凍土の調査』という事か?」
「ええ。森林地帯を抜けて、いきなり『一面の銀世界』ですよ。おかしすぎます。何とかして調べたい。科学者として、放っておけない。私はアークスではありませんから、貴方がたに頼るしか無くて。何かおかしなダーカーが出現しているとか、妙な人影が目撃されているとか・・・そんな話も聞きますし」

ある意味、アークスでなくて良かったのかもしれない。
科学者でありアークスであるアキは、かなり無謀な調査をしているという噂を聞く。

「了解した。・・・だが、一つ条件がある」
「・・・何でしょう?」
「今後一切、この調査の事を口外しないで欲しい。勿論、俺達に依頼した事を漏らす事もだ」
「何故です?」
「状況によっては、色々問題が起きかねない調査だからよ」
「そう・・・なんですか?」

まるで、自覚がない。
科学者とはこういうものなのだろうか。
好奇心、探究心を優先するあまり、その結果に対しての危険度を考えようとしない。
多少強引にでも納得させなければ、この手のタイプは勝手に動きまわってしまう。
エリはロジオに詰め寄った。

「それが条件よ。そうでなければこの依頼は受けられない」
「わ、分かりました」

エリの迫力に、困惑したようにロジオは頷いた。
ようやく、エリの顔に笑みが浮かんだ。

「じゃあ、すぐに出発するわ。・・そうね、09:00に。ロジオさんはオペレートをお願いね」
「嬉しいです。すぐに準備します。お願いします!」

挨拶もそぞろに、バタバタとロジオはその場を後にした。



手元のパネルの時間表示には、「A.P.238/3/2 9:00」とある。
エリとリュードは、ナベリウスの地表に立っていた。
しかしそれは「二度め」。

「まさか、あのタイミングで回帰が起きるなんて」
「しかもこんなに短い間隔でな」

彼らの記憶では、ほんの少し前に「地質調査の報告」をする為にショップエリアへのゲートをくぐった筈だった。
それが、今こうして「もう一度地質調査に赴いている」。

「あの状況で『成し得なかった事』が存在している、と見て間違い無いわね」
「そういう事なんだろうな」
「とにかく、気を引き締めましょう。例の『何かを探しているダーカー』が鍵な気がするわ」
「了解した」

ナベリウス、凍土。
凍てつく風に、全てが白く覆われた大地。

「見れば見るほど、不思議ね」

警戒しながら、二人は進む。
一見、美しい光景ではある。
だが己の身に纏った「フォトンシールド」が無ければ、たちまちこの寒さに身動きが取れなくなるだろう。
それ程までに、洞窟を抜けた先は気候が激変していた。

程なく、左右に別れる分岐点にさしかかる。
と同時に、巨大なダーカーの群れが現れた。
二人が瞬時に戦闘態勢を取るが、彼らを一瞥したのち、そのダーカー達は目の前を素通りしてしまう。

「・・・やはり、か」

ロジオに聞こえないように呟き、リュードはギガッシュを背に戻す。
直ぐに、ロジオから通信が入った。

『リュードさん、エリアルドさん、そこを右手に行った所に採掘機があります。そちらへ向かって頂けますか?』
「・・・いや。今のダーカーを追う」
『え?!』

予想外の答えに、ロジオの声が揺らぐ。

『・・・危険ですよ、いくら襲って来なかったと言っても、ダーカーです。それに『襲って来なかった理由』すらわかっていないんですよ?』
「だからこそ行くのよ。他のダーカーと『違う挙動をする個体』を放っておく訳には行かないわ」

ダーカーは例外なく、アークスに敵意を向けてくる。
少なくとも、今までエリやリュードが相対してきたダーカーはそうだった。
なのに、あの動きはかえって不自然。
何かを探すように、導かれるように行動するダーカーなど、見た事がない。
噂が「噂でない」状況が、目の前にある。

「すまんな、調査もちゃんと行う。暫く時間をくれ」
『構いませんが、何か危険な気がします・・・気をつけてくださいね?』

地質調査は、後でも出来る。
慎重にダーカーの跡を探し、二人は雪道を進む。
時折起きるブリザードに視界を奪われながらもその痕跡を辿る事が出来たのは「エリ」だからこそ。
氷の嵐がようやく収まり、視界が開けた時。

「・・・ダーカーの気配を・・・」
「シッ!」
「?!」

周辺に気を配ろうと視線を飛ばすエリ。
しかしそれをリュードは強引に引っ張り、氷の柱の影に飛び込んだ。
思わず声を上げそうになるエリに、リュードは「静かに」と指を立てた後、遥か彼方を指した。

「・・・!」

霞んでは居たが、そこにいたのは。

「仮面」。

当たりを伺うように見回している。

何故、ここに?
何かを探しているのは、ダーカーだけではない?
・・・いやむしろ・・・?

一つの仮説が、エリの頭をよぎる。
慌てて頭を振り、もう一度その場所を見た時にはもはや「仮面」の姿は無かった。
呆然と見やるエリが我を取り戻した頃、ロジオからの通信が再び繋がる。

『座標データが止まったのでどうしたのかと思いましたが・・・今の人は一体・・・?』
「・・・気にしないで、こっちの要件よ。この事は他言無用にね?」
『わ、分かりました』

その時だった。
リュードの脳に直接響くような「音」が聞こえたのは。

「・・・・?!?!?」

頭痛を引き起こしかねないような、空気を引き裂くような高音。
思わず顔が歪む。
エリがその異変に思わずリュードの顔を覗き込んだ。

「・・・どうしたの?」
「音が・・・」

顔を顰めて、一言だけ。
また。
リュードだけに聞こえる、音。
何故?

『どうしました?』

ロジオの問に、エリはふと思い立った。

「ねえ、ロジオ君、そっちで何か『音』を拾ってない?」
『音ですか?・・・いえ、こちらのデータでは特に何も捕捉していませんが・・・』
「・・・やっぱり・・・」

直ぐに、その音は消えた。
それは「仮面」の消えた方角から聞こえた音。
何か「呼んでいる」ようにも聞こえる。
行かなければならない。
リュードの足は自然と、音のした方向へと向かう。
探索を続けながら、先を急ぐ。
何故か、急がなければならないと感じる。
そして再び、つんざくような「音」が。

「・・・まただ」
「聞こえるの?」
『こちらではやはり何も捕捉できませんが・・・』

決して気持ちのいい音ではない。
何かを訴えるような。
そして視線の先に、リュードはひとつの「物体」を見つけた。

「リュード?」
「・・・・」

エリの静止も聞かず、リュードは歩を進める。

「・・・何、これ?」

それは、巨大な「クリスタル」のようなもの。
人の背丈ほどもある、巨大な結晶。
フォトンが凝固したもの?
違う。
不思議な事に、それは「空に浮かび、ゆっくりと回転」していた。

『不自然ですね・・・アークスの残留物・・ではなさそうですが、人工物に見えます』

ロジオのデータ解析をよそに、リュードは誘われるようにその「結晶」へと歩み寄った。
エリが止める間もなく、結晶へと手を伸ばす。
まるで、操られるように。

一瞬、視界が白化した。
光が消え、結晶は跡形もなく消え去った。
代わりにリュードの手に、白い「杖」のような長い物体が収まっている。
エリが訝しげに、覗きこむようにそれを見る。

「・・・武器・・かしら?」
『何でしょう?武器にしては形がおかしい、壊れているようですが』

これが、自分を呼んでいた「もの?」
何度も眺め、リュードは首をかしげた。
分からない、これが何なのか。
何故「自分」にだけ聞こえたのか。
じっと立ち尽くして、リュードはその「壊れた武器」を見つめていた。



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