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PSO2二次創作小説「時の輪」(7)

この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」をある程度進められている方(おおよそ4枚目くらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

初めての方はまず

PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

をお読みになる事をお勧めします。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2) (3) (4) (5) (6)


↓PSO2二次創作小説「時の輪」(7)
「じゃあ、あの人が前に言ってた、エリアルドの探してた人なの?」
「ええ、そうよ」
「ふぅん・・・新人だって聞いたけど・・到底そうは見えないわよね」
「うん・・・色々あってね」

ショップエリアのベンチに、二人は座っている。
少し離れた場所に、リュードとゼノが会話をしているのが見て取れるが、声は届かない。
エコーは肩をすくめて、エリを見た。

「それにしても、貴女が男性と組むとか驚いたわ」
「何で?」
「呆れた、何人パートナー候補をフってきたか忘れたの?・・・まあ今なら、それがあの人を待ってて、って事だって分かるけど」
「そんなじゃないわよ、単純に面倒だっただけ」

この手の話に耳ざといエコーが、少し煩わしい。
その容姿から幾度と無く言い寄られて来た事も、エリにとっては「うっとおしい出来事」でしかなかったのだから致し方ない。
時折、力ずくで言う事を聞かせようとする男すら居たが、エリはその「実力」で全て払いのけて来たのだ。
エコーはからかうように笑みを浮かべて、もう一度エリを見る。

「気付いてる?遭難した時と今と、全然顔が違うわよ?」
「そうかな・・・?」

エリは照れ隠しのように視線を外す。
エリも決して「表情を隠す」のが得意ではない。
十年間追い求めてきた「答えの一つ」が見つかったのだ。
むしろ、先日の事件の「お陰」で少しだけ近付く事が出来たと思っていたから。

「リュードさんも、あんまり喋らないけどエリアルドを信頼してるのね」
「だといいんだけど」
「・・・何だか、羨ましいな」

ふと、エコーは少し俯いた。
珍しく声の調子の下がったエコーに、エリは訝しげに視線を投げる。

「どうしたの?」
「・・・うん。私ね、最近ゼノに疎まれてる気がするの」
「え?」

らしからぬ言葉に、エリは驚いた。
エコーは俯いたまま、ちらりとゼノの方へ視線を飛ばしてからため息を付いた。

「最近、特にね。勝手に先に行っちゃうし、依頼は勝手に受けて勝手に一人でこなそうとするし・・・」
「・・・エコーだって人の事言えないじゃない」
「あ、あれは・・・だって、私足手まといになりたくないから・・・だから、頑張って腕を磨こうと思うんだけど・・・あんまりうまく行かないの。空回りしてる感じがして。いつも気づいたらゼノに先回りされちゃって、結果役立たずになっちゃって・・・」

独断専行はエコーの十八番。
しかしそれが「少しでもゼノの役に立ちたいから」という理由からとは、思いもしなかった。
ゼノがその事で幾度と無くぼやいていたのを知っているエリとしては、このエコーの悩みが「贅沢」にしか感じなかった。
これほど、息の合ったコンビは居ない。
エコーもエリが知る限り充分腕が立つフォース。そしてゼノもそれを承知している。
そう思っていたのに。

「あんまり、気負わないほうがいいんじゃない?幼馴染なんでしょ?」
「だからこそよ、知りすぎちゃってて・・・なんて言うか、負けたくないの。だってゼノの本当の適性はレンジャーなのに。私全然追いつけてなくて・・・」
「・・・え」

適性?
エリはそこまで聞いて、はたと気づいた。

「ちょっと待って、あなた達クラス変えられないの?」
「私たちは出来ないわ。ゼノも、理由があって無理してハンターを選んで今に至ってる。エリアルドは出来る筈よね?」

きょとんとするエコーに、エリは思わず向き直った。

「出来る・・・けど」
「私達の試験の時に初めて実験的にクラスチェンジが導入された筈よ。貴女がそれに選抜されたってゼノから聞いてる。ゼノが凄く羨ましがってたのを覚えてるわ。その後の世代はみんな出来るようになったみたいなんだけど」
「そんな・・・」
「どっちにしても、能力があったって認められたんだもの、良いわよね・・・」

どういう事?
エコーの「実験」という言葉が気になった。
エリ達の世代は、第三世代のはしりと言われている。
十年前にアークスであり、一度リタイアして復帰したリュードはどうなのだろう?
何か、ここにもはっきりしない「何か」が存在しているような、そんな気がする。



「あの二人、何の話をしてるんだか・・・」
「気になるのか?」
「・・・旦那はそういうの疎そうだからなー、気にしないって言うならいいけど」

ゼノが視界の片隅にエコーとエリを入れながら、苦笑した。
この十年来良くも悪くも「俗世」と殆ど関わりを持って来なかったリュードには、何を言っているのかが今一つ分からない。
ふー、と息を一つ付いてから、ゼノはリュードへ向き直った。

「それはそうと、例の『武器』の破片のことなんだけどな」

不意に本題に引き戻された。
あの場に立ち会っていた「信頼出来る人間」として、リュードはゼノに相談していたのだ。
アークスに復帰したばかりのリュードには他に頼れる者も居ない。

「何か解ったのか?」
「俺の知り合いに、刀鍛冶をやってたキャストのジグっていうじーさんが居るんだ。そのじーさんに聞けば何かわかるかもしれん」
「刀鍛冶を・・やっていた?」

過去形?
難しい顔をして考えこむゼノに、リュードは僅かに首を傾げた。

「いや、最近めっきり老け込んじまってさ。やる気をなくしちまってるらしい。今朝、欠けたヴィタソードを直して貰おうと行ったんだが、他のやつに頼んでくれってにべもなく断られたよ」
「ふむ・・・」
「まあ、聞くだけなら聞いてみちゃどうだ?武器に関しての知識は半端ないじーさんだからな。仮住まいだがショップエリアから居住区に通じる通路のところに部屋を持ってる。それと、この間の遭難で武器を失くしたって言ってたよな?それも相談してみるといい。本来はお節介が酷いくらいのじーさんだからさ」
「そうするよ。色々ありがとう」

わずかに頭を下げて立ち去ろうとするリュードに。
思い出したように、ゼノが声をかけた。

「・・・ひとつ旦那に忠告しとく」
「ん?」
「エリアルドと組んだんだよな?」
「ああ・・そうだが?」

ニヤリと、ゼノが笑った。
リュードはその笑いに思わず身を引く。

「俺達の同期じゃ『カタブツ』で通ってた彼女と組んだんだ、相応の覚悟はしておけよ?」
「どういう事だ?」
「旦那を妬む奴は一杯居るって事さ」
「???」

訳がわからない、という表情のリュードに、ゼノは肩をすくめて笑った。

「冗談はさておき、彼女を頼むぜ。ずーっと一人で頑張ってきたんだ」
「・・・ああ、知ってる」

エリに視線を送った後に、思わず口をついて出た本音。
その後、自分の言葉に驚いたような顔をしているリュードに、ゼノは安心したように笑った。

「・・・何だそうか、じゃ大丈夫だな」
「大丈夫かどうかは・・・俺が決めることじゃないがな」
「謙虚だなぁ。やっぱりその辺も師匠に似てると思う」
「そんな大層な人間じゃないぞ俺は」

はは、とゼノは笑った。
こういうタイプだからこそ、あの頑ななエリアルドが心を開いたのかも知れない。
鈍いのか真っ直ぐなのか何なのか。最近は珍しい、クソ真面目な男。
どういうきっかけで知り合ったのかは知らないが。
あの雪山で、雪庇から滑落した彼女を追って迷わず飛び降りた。
自分たちが救助した時には、彼女を庇って危篤状態にすら陥っていた程だ。
この男にとっても、エリアルドは「ただのパートナーではない」事は容易に図り知れる。

苦笑するリュードも、こうして「他者」と会話をする事が苦痛でなくなっている自分に気付いていた。
以前の状態からすれば、天と地との差程もある。
マターボードの力で時を遡っていても、「人」は変わらない。
「今」を、これ程迄に大事に思った事は無かった。



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