PSO2二次創作小説「時の輪」(11)

この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方(おおよそ5枚目クリアしたくらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

初めての方はまず

PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

をお読みになる事をお勧めします。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

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↓PSO2二次創作小説「時の輪」(11)
辺りが薄暗くなり始めてようやく、その場所にたどり着く。

「え・・・」
「ここか?!」

眼の前に広がるのは、巨大な流砂の渦。
彼らを導いてきたリリーパ族が、その前でしきりにその渦の中心を指す。

「これは、分からない筈だ」
「そうね・・・誰も流砂の渦が入り口だなんて思わないわ」

確かに考えてみれば。
流砂が起きるということは、その砂の「行き先」が有るという事。
衛星調査で「地下の巨大な空洞」が見つかっているのだから、当然といえばそうなのだが。
アークスの装備は流砂の中でも活動出来るだけの能力はあるが、危険度を重視して人的探査が出来なかったのだろう。
探査機を投入したところで、機甲種に破壊されてしまうだけだ。

「この座標を、本部へ送信してと・・・」
「待って」

端末を操作しようとするフーリエを、エリが止めた。
訝しげにフーリエは顔を上げる。

「どうしたんです?」
「・・・先に、ゼノ達に連絡しましょう」
「え?」

リュードは瞬時にその「言葉の意味」を理解した。
本部に報告するという事は、この場所が「全てのアークスに知られる」という事。
つまり「仮面」にも知られてしまう可能性がある。

「そうだな、その方がいい」
「???」

首を傾げるフーリエに、エリは苦笑した。

「連絡されるとちょっと困ることがあるの。代わりに知り合いに応援要請をするわ。この先何が起きるかわからないから」
「そう、ですか?エリアルドさんがそう言われるなら、そうしますけど」
「ごめんなさいね」

未開の地に足を踏み入れるなら、頭数は多い方がいい。
それも「信頼出来る人間」を。
ゼノに連絡を入れると、直ぐにこちらに駆けつけると二つ返事が帰って来た。
「ゼノ達にだけ」座標を送信した後。

しばらくするとようやく砂嵐が収まった。
フーリエが、その夜景に声を上げた。

「・・・わぁ・・・!」

満天の星。
常時砂嵐が巻き起こるこの星では、めったに見られない「星景」。

「オラクルに居たんじゃ絶対に見る事が出来ない『本物の夜空』だ、アークスの特権だな」
「シップから見た星も綺麗だけど、大気を通すと星がキラキラと瞬くのよね・・綺麗・・」

全員が、その「絶景」にしばし言葉を失った。
集まる銀河と、まばゆい星、消え行く星、赤い星青白い星。
時折、流れ星すら見える。
文明の明かりが無いからこそ見られる、夜の空を埋め尽くす煌めき。
大気のゆらぎのレンズを通してみる「恒星」は、その「生」を感じ取れるように輝きを変化させる。
星空を見上げながら、リュードがふと思い出したように口を開いた。

「何処かで読んだことがある。大昔、遥か昔の俺達の先祖はこうやって星を見上げて『いつか宇宙へ』と願っていたらしい。地上から宇宙へ出る事すらままならなかったそうだ」
「聞いた事があるわ。本当に両手で数える程の人しか宇宙に行けなかったって。そのくらい、住んでいた惑星の外へ出るのが大変だったみたい」
「俺達にしてみれば、『大地に降り立つ』事の方が難しいのにな」
「ご先祖様は、こんな星空を毎日見ていたんでしょうか・・・」

フーリエの言葉に、エリは辺りを見回す。
かつてこの星にあった「文明」。
残されている「痕跡」や「機甲種」の存在からそのレベルの高さは窺い知れる。
資源が枯渇したから打ち捨てられたのか、滅びたのかは分からない。
だが、残された「機甲種」が無尽蔵に生み出される状態は、自分たちの文明の行く末を暗示している気がしてならない。
この星に降りる度に、エリはそう感じていた。



「・・・話し声が聞こえるからなにかと思ったら、相棒?」

聞き覚えのある声。
リュードが振り返ると、そこに小柄な少年が立っていた。

「・・アフィンか?」
「何やってんだ?こんなところで」
「それはこっちの台詞だ。お前こそ何故ここへ?」
「俺?ようやくこの星への探査許可が降りてさ、様子を見に来たんだ。言ったろ?人を探してるって」

リュードの「復帰試験」時、共に行動していたのがアフィン。
目の前の頼りなさそうな、幼さの抜けない顔の少年がアークスになった理由はエリと同じ「人探し」の為。
歩いてくるアフィンに、リリーパ族は慌ててフーリエの後ろへと身を隠す。
立ち止まり、アフィンは目を丸くする。

「え・・・今の、リリーパ族?」
「驚かせちゃダメよ、まだあんまり人に慣れてないから」
「へーぇ、俺初めて見ましたよ、可愛いなぁ」

遠くからひらひらと笑いながら手を振るアフィンに、リリーパ族は恐る恐る顔を覗かせてじっと見つめる。
アフィンはふとリュードに向き直った。

「で、相棒達は何してるんだ?」

話しておくべきか、一瞬迷った。
だが、今は協力を仰いだほうがいいかもしれない。
エリに視線を送ると、彼女は小さく頷いた。

「この先に、地下へ通じる道がある。俺達はこれからその探索活動に入る」
「地下!?行けるのかよ?」
「この子が案内してくれるそうですよ。何があるのか楽しみですよね?」
「アフィン君、一緒に来てくれないかしら?」

エリの言葉に、アフィンの顔が一気に上気した。
純粋な好奇心が、行動に出る。

「いいんですか先輩!うっわ、うっわ嬉しいなぁ!!」
「うっるせぇなぁ、遠くまでダダ聞こえだぞお前」

背後から浴びせられる声に、アフィンは思わず首をすくめる。
振り返ると、そこにゼノとエコーが立っていた。
テレパイプを使って、直接降りてきたらしい。

「待たせたな旦那、エリアルド」
「悪いな、呼びつけて」
「地下への入り口が見つかったって本当?」
「ええ、だから貴方たちに応援要請したの、何があるか分からないから」
「本部より俺達に先に連絡くれたって意味は、理解してるつもりだぜ?」

やはり、信頼出来る。
ゼノの思考の鋭さは折り紙つき。
だが、とゼノはアフィンにずいと歩み寄った。

「おいルーキー、この事は俺達がいいと言うまで口外すんじゃねえぞ?そうでなきゃ連れて行かないからな?」
「え・・・あ、はい、分かりました・・???」

わけも分からず承諾させられるアフィンに、リュードは苦笑する。
そして、フーリエに向き直った。

「ようやく揃った。これで出発できる」
「わかりました。行きましょう」

フーリエは顔を引き締め、大きく頷いてから。
自分の後ろで小さくなっているリリーパ族へと振り返ってしゃがみこんだ。

「大丈夫、この人達は私たちの仲間。あなたを守ってくれるの。安心してね?」
「りー・・・?りー!!!」

言葉が通じたのだろうか、リリーパ族は大げさに頷いて流砂へ足を踏み入れた。
驚いたのはエコーやアフィン達。

「え・・・そこ?!」

体重が軽いせいか、流砂の上でもある程度歩けるようだが。
振り返ってからリリーパ族は手を振って。

「りー!」

飛び込むように、流砂の渦の中心へ潜っていった。

「ええええ・・・!!!」
「俺が先行する。フォトンシールドを最大にして行かないと身動きがとれなくなる可能性がある、気をつけろ」
「いや・・そういう意味じゃ・・・相棒!!」

アフィンの静止も聞かず。
手元のパネルを操作した後、リュードは迷わず後を追うように流砂へとジャンプした。
一瞬で姿が砂の中へと消えたのを見届けて、エリが苦笑する。

「こういう行動力は、叶わないのよね」

後を追うように、エリが飛ぶ。
承知はしたものの、いざ流砂へ入るとなると尻込みしてしまうアフィンに。

「おら!さっさと行け!!」
「うわぁ!!!」

ゼノが、アフィンを蹴り飛ばした。
藻掻くように砂の中へ消えていくアフィンに、エコーとフーリエが思わず笑う。

「ちょっとひどくないですか?」
「いーんだよ、ああいう奴は背中押してやらなきゃ動かないんだから。さ、俺達も行くぞ」
「はい、行きましょう」
「んもー、髪の毛砂だらけになっちゃいそうだわ・・・」

全員が流砂の中へ飛び込んだ後を、再び砂嵐が覆い隠す。
後を追うものは、いない。



「ぶぇーーーーーっ!!ぺっぺっぺっ!!」

口の中に入った砂をアフィンが吐き出して、咳き込んでいる。
山のようになった砂の上から転げ落ちた時に、口に入ったらしい。
エリは思わず、アフィンの背中を擦った。

「大丈夫?」
「何で相棒は平気なんだよもう・・」
「だからシールドを最大にしろって言っただろうが」

呆れたようにリュードがため息をついた。
エコーが髪をばさばさと振り払っている。

「あーもう・・やっぱり髪の毛が・・・エリアルドは大丈夫?」
「私は平気よ?」
「何だ何だ、情けねぇなぁまったく・・・」

降り立ったその場所は、彼ら以外は驚くほど静かな空間だった。
上から落ちてくる流砂の音、時折砂の塊が落ちる重い音。
それ以外は、音がしない。
彼らが来なければ、砂以外何一つ動くものはないのではないかとさえ思える。
だが。
眼前に広がる光景はどう見ても「人工的なもの」だった。

「・・・鉱山・・・坑道?」
「そんな感じだな」
「後で本部に提出出来るように、ログは取っておきますね」
「そうしてくれると助かるぜ」

フーリエは小さく呟いただけなのに、妙に声が大きく聞こえる。
ゼノが答えて、自分たちが降り立った場所を調査し始めた。
採掘された場所に道が作られ、それが縦横無尽に張り巡らされている。
何処まで続いているのだろう。
更に、驚く事に「電気」が生きていた。
通路のそこかしこを照らす照明があちらこちらで点滅を繰り返している。

エリは坑道の通路を少し先行し、今までより注意深く辺りを「探知」した。
それに気付いたリュードが、歩み寄ってくる。

「大丈夫か」
「今のところ気配はないわ」

だが、険しい顔をしてリュードは首を振る。

「そうじゃない、無闇に『探知』を使うなとローラさんに言われてる筈だ。無茶をするなと言っただろう?地上でずっと使っていたんだ、休め」

脳に過負荷をかけ、命を削る「探知」の能力。
地上で戦闘を避ける為とはいえ、酷使して来た事をリュードは知っていた。
無意識のうちに使っていた事に気付き、エリは思わず目を伏せる。

「・・・ごめんなさい」

その様子に、ふ、とリュードが笑った。

「謝るのは終わりじゃなかったのか?」
「もうっ!・・・ありがとう」

エリは思わず頬をふくらませた。
分かっている。
張り詰めた糸を解すために、リュードが柄にもなく自分をからかっている事くらいは。

「そんなものを使わなくても、辺りから漂ってる『機械的な悪意』はわかるさ」
「・・・・え」
「静かすぎるんだよ。あれだけ地上で機甲種が暴れまわっていたのに、ここに居ないはずがない」

リュードの表情が一気に「ハンター」のそれへと変化する。
彼がタルナーダを抜いた途端、全員が瞬時に戦闘体制を取った。
通路のはるか向こうに、何か蠢くものがあったからだ。
それは次第に「数」を増やして行く。
ゼノは不敵な笑みを浮かべて、一歩前へ出る。

「来やがったな・・・!!!」
「簡単には進ませないって事かよ・・・!」
「この子は私とアフィンさんで守ります、お願いします」
「了解よー!支援はまかせて!」

こちらの行く手を塞ぐように蠢く「機甲種」の集団。

「行くぞ!!!」
「ええ!!」

リュードとエリが同時に先陣を切る。
大仰なアラートが鳴り響いた。



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