ミルクチョコレートより甘くてビターチョコより苦い日。

覚悟してね。
中の人がもげろ爆発しろ言いながら書いたんだよ。

バレンタインなので、ゲロ甘を目指しました。
今までからしたら相当ゲロ甘よ?





今までの鬱憤を晴らすように書いたので、苦情は受け付けない(笑)




一日の任務を終えて。
チームルームの喧騒に苦笑しつつ、情報をやりとりして。
ようやく、自室に戻る。


・・・・・・。


やけに静かだ。
いつもなら、自室に戻った途端に放っておいても飛び込んでくる人物がいるのに。
それが「当たり前」になっていた自分に無性に腹が立つ。


部屋の入口に備え付けられた「ビジフォン」で任務日報という名のログを提出してからメールチェック。
任務に対しての評価。
自分に対しての依頼メール。
その中に紛れて、「2日ほど留守にします」の表題が見えた。
他の未読メールをチェックしてから、無意識にそのメールを展開する。



 2日ほど、そちらに行けません。
 戻ったら連絡します。
 大したことじゃないから、心配しないでね。

 エリアルド



そのメールが届いてから、丸3日何の音沙汰もなし。
今まで、無かった事だ。
端末の電源を落とし、疲れた表情のまま寝室へ。
着ていた服すら脱ごうとせず、そのままベッドにどっと倒れ込んだ。


飯を食うのも億劫だ。
このまま、寝ちまうか。


最近、考える事が多すぎる。
人との関わりを持ち始めてから心労が増えた。
それは「贅沢な悩み」だとは知っていながら。


慣れない事は、疲れるんだよ。


そう、独りごちる。
疲労と睡魔が、あっという間に彼の目を閉じさせた。








ことん。




かたたん。


どの位時間が経っただろうか。
僅かな音に、微睡みから引きずり戻された。
目を閉じたまま、気配を伺う。


部屋の中に、微かな足音。


・・・鍵をかけるのを忘れていた。
この部屋に、盗むようなものは無い筈。
または、チームの誰かがルームグッズを「テロ」しに来たのか。
それとも?


何より、寝起きを邪魔されるのが一番気に入らない。
横になったまま、壁の方を向いたまま。
リュードは不愉快極まりない声色を発した。


「・・・誰だ」


足音が止まる。
それを確認してから起き上がり、ガリガリと頭を掻いて仏頂面のままベッドの上に座った。


「人が寝てるのを邪魔するとか、いい度胸だよ」


そうして、視線をその人物へ投げて。
目が覚めた。


「あ、あはは、起こしちゃった?」


そこに立っていたのは。
エリアルド。
リュードは思わず、呆然とその姿を見る。


「ごめんなさい、寝てていいのよ?」


慌てて左手を後ろに隠し、ヒラヒラと右手を振っている。
目いっぱいの「作り笑い」を浮かべて。
何より、その姿にリュードは驚いた。


エリちゃん苦笑。


体中、至る所に包帯。
顔には幾つもの絆創膏。
気づけば、指にまでバンテージが見えた。
満身創痍。


寝起きの不機嫌さも手伝っているのだろう、リュードはベッドから立ち上がり。
怒りの混じった表情のままエリに歩み寄った。


「・・どうしたんだ」
「何でもないの。気にしないで」
「そうじゃない、この怪我はどうしたんだと聞いてる」
「大丈夫よ?」


元々、彼女も嘘を付くのは苦手。
明らかに態度がおかしい。
後ずさるように、エリが部屋の隅へ逃げる。


「そんなに怖い顔しないで」
「させてるのは誰だ。何を隠してる」


まさか、彼女にまで「奴ら」の手が?
彼女を使って、自分を?
悪い想像ばかりが、頭を駆け巡る。
追い詰めるようにリュードは歩み寄り、強引に「隠された左手」をひきずり出した。


「・・・・????」


その手にあったのは、20cm四方の平らな箱。
丁寧にラッピングされて、隅にリボンがあしらわれている。
自分が想像していたものと全く違うものがそこにあった。
リュードは拍子抜けしたようにその箱を眺める。


「何だ・・これ?」
「んもう・・・黙って置いていこうと思ってたのに」


わけが分からず、リュードは手を離した。
隠し事がばれてしまった事に、エリは苦笑して。


「きっと貴方の事だから、今日が何の日かなんて忘れてるか知らないかでしょ?」
「今日・・・??」


改めて、はにかんだような笑みを浮かべ。
エリはその「箱」をリュードに差し出した。


「・・・???」
「今日は『バレンタイン』よ?」


ベッドの脇のデジタルカレンダーの日付は、2月14日。


そういえば。
数日前、チームルームで女性陣が何やら大騒ぎしていたような。
チームルームに、チョコの甘ったるい匂いが充満して大変な事になっていたのを思い出す。
こういったセレモニー的な事に全くといっていいほど興味のないリュードでも、流石に思い出した。


「甘いのが苦手だって言うから、ビターチョコで作ってみたの」


急かされて、箱を開けると。
びっくりするほど大きなハートの形のチョコレートがあった。
表面に丁寧に「あなたのそばにいます」とオラクル文字でデコレーションが施された、手の掛かったもの。
僅かに顔を赤らめながら、エリが笑った。


「この間皆で一緒に作ったんだけど、どうしてもデコレーションが上手く行かなくて。それで、最近話題になってる『ナウラ三姉妹』にやり方を教えてもらおうと思って」


聞いたことがある。
オラクルの環境が気に入らず、ありとあらゆる「自然の環境」を求めて彷徨いながら『菓子』を作る姉妹がいると。
呆れたように、リュードはエリを見る。


「・・・まさか、その人達を探しに行っていたのか?」
「その人達がアムドゥスキアの火山洞窟に居るって聞いて行ったのはいいんだけど、3日も掛かっちゃって。見つけた時はよりによって龍族と喧嘩してて・・・酷いことになってたの。仕入れの品を壊されそうになってて」
「それを、助けたとか?」
「うん。この怪我はその時の。ちゃんと手当もしてくれたし、助けてくれたお礼にって親切にデコレーションしてくれたのよ?美味しいケーキもご馳走になったの」


本当に楽しそうに話をする。
それが、分からない。


自分が想像していた「悪い事」で無かったのは良かったものの。
近くのテーブルにチョコレートを置いてから、リュードはとてつもなく大きくため息を付いた。
不機嫌そうに頭を掻き、横を向く。
機嫌を損ねた事に、エリはようやく真顔になり、項垂れた。


「・・・ごめんなさい」


怒られると思ってたけど、ここまで機嫌が悪くなるなんて。
ちゃんと言って行けば良かったかな。
でもそれじゃ、サプライズの意味が無いもの。
しばらくそうっとしておくしか無いかな。


そんな事を考えて上目遣いにちらりとリュードを見る。
彼はもう一度ため息を付いた。


直後。
エリは彼の唐突な行動に、目を丸くする。
気付いたら、自分がリュードの腕の中に居た。
逃げられない程強い力で、がっちりと抱き締められていた。


「どれだけ心配したと思ってるんだ」


ようやく出た言葉に、エリは思わず笑った。
この人は、いつもそう。
言葉の前に、行動が先に出る。
言葉にするのが苦手な分、行動でその「意思表示」をする。
他人の前では一切表に出さなかっただろうが、この3日間の心の荒れ様を察して余りある。


「そこまで私弱くないわよ?」
「そういう問題じゃない」


こんな怪我をしてまで、俺の為に。
そんな言葉は、死んでも言えない。
せめて、今だけはこの手の中に収めておきたい。
今まで抑えていた「感情」が、飽和しかけている。


「心配させて、ごめんなさい」
「無事ならいいんだ・・ありがとう」


エリが腕の中で顔を上げて笑った。
柔らかく、リュードが笑みを返す。


「・・・礼をしておくか」
「ホワイトデーなら、まだ先よ?」
「とりあえず、今の分をな」
「え?」


自然に、とても自然に。
リュードは、エリに唇を重ねた。
一瞬、驚きはしたものの。
エリはその身を委ねて、静かに受け入れる。


りゅーえり



ゆっくりと顔を離してから、エリはくすくすと笑った。


「・・・貴方がここまでするなんて思わなかった」
「俺だって男だ、馬鹿にするなよ?・・とはいえ」


エリを開放して背中を向け、リュードは頭を掻く。
この上なく、エリは上機嫌な笑みを浮かべてその顔をのぞき込んだ。


「ふふ、真っ赤」
「・・・本当に、慣れない事はするもんじゃないなぁ」


テーブルの上に置かれたチョコレートの大きさが、彼女の自分への「想い」を示している。
とりあえず、今は誰にも邪魔されたくない。
リュードは手元の端末を使って、部屋の鍵をかけた。








邪魔したら皆殺しにされるので、近づかないように。

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