PSO2二次創作小説「時の輪」(13)

この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方(おおよそ6枚目クリアしたくらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

初めての方はまず

PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

をお読みになる事をお勧めします。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

(11) (12)



↓PSO2二次創作小説「時の輪」(13)
爆炎と、煙と、砂埃。
その全てが収まったその場所を、その場に居た全員が呆然と眺める。

「旦那!!!!」
「リュードさん!!!」
「相棒ー!!!」

巨大な鉄屑。
残骸の山。
眼の前にあるのは、モノ言わぬ鉄塊。
口々に彼を呼び、瓦礫の上をよじ登り。
絶望的な目をして、辺りを捜索する。

「あんな爆発だったんだ、助かるわけが・・」
「いいえ」

その中で、ただ一人。
ネガティブな感情を吐き出すアフィンを、真っ向から否定する。
エリだけがその目に光を宿していた。

「あの人が、死ぬ筈はないの」

驚くほど、自分でも冷静だった。
以前であれば混乱し、取り乱していた筈。
約束した以上、ああいう行動を取る時には「理由」がある筈。
何故か、それが信じられる。

注意深く、残骸の山を見ていくと。
散々自分たちが叩きのめした「本体」の残骸が目に入った。

「静かに!!!」

エリの鶴の一声に、それまで声を張り上げていた彼らは口を閉じた。
静まり返った鉄屑の山の中。

カン、カンカンカン。

微かに、聞こえた。
鉄の壁面を何かで叩く音。
見ると、「本体」の主砲のカバーがそこにあった。

「・・・あそこだわ!!!みんな手伝って!!!」

爆風のせいか、がっちりと「カバー」が閉じられてしまっている。
音はその「中」からしてくるのだ。

間違いない。

全員が頷きあい、その場に転がっていた鉄パイプや棒を使ってカバーを強引にこじ開ける。
きしみを立てて両側のカバーが開いた後、その重さに耐えられずにけたたましく瓦礫の山の上から転がるようにして落ちたのを確認してから、もう一度その場所を見ると。
中にあった小さな空間にリュードが座り込んでいた。
埃だらけの顔で笑みを浮かべ、手を上げる。

「よう、死なずに済んだよ」

至る所に裂傷は見えたが、大きな怪我はしていないようだった。
ほっとしたのか、緊張の糸が切れたのか。
フーリエががっくりと肩を落とした。
訝しげに、リュードが眉を顰める。

「・・・大丈夫か?」
「それはこっちのセリフですよ!亡くなられたかと・・・!!!」
「本体を攻撃している時に内部が空洞だったのが見えたんだ。だから爆発する前に何とか潜り込んだんだよ。きっとこいつなら爆発にも耐えられると思ってね」
「ホント、よく生きてたわね」

呆れたようにエコーが笑うと。
リュードは苦笑して、本体の残骸からよじ登るように外へ出て来た。
エコーと同じ顔をしたゼノがようやく笑みを浮かべる。

「ったく、旦那もとんでもないな」
「そうでもないぞ?死ぬつもりはなかったからな」
「本当かよ?」
「勝算が無ければあんな事はしない。・・・といっても、閉じ込められたのは間違いないが」

それは「救助してくれる誰か」が居るのを前提にした行動。
以前のリュードからは考えられない「変化」。
ゼノの後ろで穏やかに笑っているエリへ、リュードは歩み寄った。

「心配させたな」
「また、無茶をしたわね?」
「あの状況じゃあれしか方法が無かったのは、君にも・・」
「わかってるわ。無事で良かった」

怒っているわけではなく、ごく自然な、それだけの会話。
だがそこにある「信頼」は揺るがないものになりつつあった。



リュードは少し高くなっている残骸の上に立ち、あたりを見回す。

「・・・何とか、止められたな」
「一時はどうなるかと思ったけどさー」

気付くと、アフィンが近くで同じように辺りを見回している。

「そっちも無事で良かった」
「当たり前だよ、俺だって死にたくねぇもん」
「ルーキーもいい仕事したな、お疲れさん」

ゼノにポンと肩を叩かれ。
アフィンはまんざらでもない様子で笑みを浮かべる。
その横を。
ようやく、フーリエの腕から開放されたリリーパ族がてくてくと歩きはじめた。

「・・・・?」
「今度は何処へ行くんだ?」

少し瓦礫の少ない、おそらくは「艦首」に近い場所。
その上で、リリーパ族は立ち止まり、振り返った。

「りー、りー、りー!!!」

全員が後を追うように、その場に集まった。
フーリエが歩み寄り、跪いてその「言葉」を読み取ろうとする。

「うん、うん、・・・え?この下?」
「下?」
「ええ、この瓦礫の下に、何かがあると言ってるみたいです」
「よく分かるな―・・つっても、滑りこむ隙間も無さそうなんだけど」

アフィンがその「表現」を読み取ろうとするが、分からない。
フーリエは何度も頷いてから、立ち上がって振り返った。

「私の出番ですね!」
「え、どうすんだ?」
「発破で、この瓦礫をどかしますから」
「え?!」

言うや否や、フーリエは持っていたアイテムバッグから、炸薬を取り出して設置し始める。
ゼノが慌てて、止めようと前に出た。

「いや、ちょっと待て、この状況で瓦礫ふっ飛ばしたりしたらどうなるか・・!」
「やってみなきゃどうにもならないでしょう?」
「いやまぁそうだけどよ」
「さぁ、瓦礫から降りてください!破片が当たったら大変ですから」
「準備早っ!!」

呆然とするばかりのアフィンを他所に、全員が瓦礫から退避する。
後を追うように、焦ってアフィンが駆け下りてきた。
ふと、立ち止まり。
フーリエは呟く。

「私、自分に出来る事は精一杯頑張ると決めたんです。リュードさんみたいに」
「・・・俺の真似はしない方がいいと思うがなぁ・・」

苦笑するリュードに、真面目な顔をして向き直る。
フーリエの表情は、何かを吹っ切ったような晴れやかなものだった。

「実直なキャストらしい意見だけどさ、絶対頑張る方向を間違えてると・・・・」

アフィンのその後のぼやきは、派手な爆音でかき消された。
ようやく静かになったばかりのその場所に、砂煙と爆炎が立ち昇る。

「・・・・ぶぇ・・・砂が口に入った・・」

もはや、諦めた表情のアフィンを他所に。
轟音が収まってから、再びその場所へ全員が集まった。
ちゃんと計算された上での爆破であったようで、目標の座標の部分「だけ」が見事に瓦礫が吹き飛んでいた。

「うん。爆破崩落規模、想定内。これで綺麗になりました。さぁ、何があるんでしょう?」

フーリエが状況を確認したその刹那。

「・・・・・・・・・!!!!」

あの、劈くような音。
凍土で聞いた、耳障りな高い音。
リュード「だけ」にしか聞こえないその音に、彼は耳を抑えて顔を顰めた。
エリがそれに気づいて、気遣うように彼を見る。

「・・・リュード?」
「音だ・・また、聞こえた・・・」

直後。
巨大な「結晶」が、その場に姿を表した。
鋼鉄製の床をすり抜けるように、ゆっくりと「地」から湧き上がるように見えた。

「これは・・・!」

凍土で見たものと、ほとんど同じ。
自分を呼ぶ音。
呆然とエリが、いやその場に居た全員がその巨大な「結晶」を見つめる。
その中を、迷わず手を伸ばすリュードが居た。

リュードの手の中で、具現化されたもの。
素材は、あの棒のような「武器の一部」とほとんど同じに見える。
だが大きさは以前のものよりずっと小さく、人の頭ほどの大きさしか無かった。
淡く、それでいてはっきりとリュード自身に反応して輝いている。
アフィンがその輝きに目を奪われたまま、つぶやく。

「・・・何だ、それ?」
「武器の一部・・・だと思うが」
「綺麗・・・。これが私達・・ううん、リュードさんに見せたかったものなの?」

フーリエが何気なく問うと、リリーパ族は小さく頷いた。
そこに、何処からか二人?のリリーパ族がおずおずと姿を見せた。
合流して、何かを話し合っている。
そして全員が、リュードを見上げた。
ふと、アフィンは足下でリュードを見続けるリリーパ族へと視線を投げる。

「でも、どうしてリリーパ達はこれのありかを知ってたんだ?」

彼らは必死で何か、ジェスチャーをした。
口も僅かに動いている。
フーリエはそれを、必死で読み取る。

「えぇと・・・大事、物、預ける・・・???すみません、詳細まではちょっと・・・」

預ける?
俺に?

その小さな生き物達の目はずっと、リュードへと注がれていた。
彼を信じ、「大事なもの」を託し、委ねた「期待と不安」が読み取れる。
リュードはリリーパ族へと歩み寄り、腰を落とす。
柔らかく、笑みを浮かべて。

「・・・ここまで案内してくれただけで充分だよ。分かった。これは俺が預かる。心配するな」
「りー!!!」

リュードが自分たちを案内してきたリリーパ族の頭をわしわしと撫でると。
小さな生き物達はこの上ない「笑顔」を浮かべた。
その「感情」は、誰の目にも明らかだった。
それを見届けて、ゼノが大きく伸びをする。

「さー、戻ろうぜ、流石にヘトヘトだぁ」
「よく考えたら、徹夜しちゃったのよね?」

つられて、エコーが伸びをした。
幸い、砂嵐は止んでいる。
少し歩いただけで、リリーパに降り注ぐ恒星の光が目に刺さった。
アフィンが大げさに叫ぶ。

「うぉー、まっぶっしー!!」
「早く帰って思う存分寝たいです、キャストにも休養は必要ですから」
「その前に、この砂を落とさなくちゃ、砂だらけ!」
「ログは私が提出しておくわ」
「そうだな・・・帰ろう」

ひとまずは、良しとしよう。
あの「仮面」より先に、目的の物が手に入れられた。
ログはきっと、エリが上手く「部分的に」纏めてくれるだろう。
ジグにこれを届けて、この砂だらけの身体をなんとかして。

寝よう。

リュードは一つ、大きな欠伸をした。



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