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PSO2二次創作小説「時の輪」(16)

この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方(おおよそ6枚目クリアしたくらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

初めての方はまず

PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

をお読みになる事をお勧めします。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

(11) (12) (13) (14) (15)


↓PSO2二次創作小説「時の輪」(16)
惑星アムドゥスキア。
数万年前の巨大隕石によるジャイアントインパクト(衝突)の影響で地殻部分と表層部分が分離。
さらに、その影響で強烈に狂った地磁気の反発のため、衛星軌道上に「本来の地表」が数多く漂っている奇妙な星。
未だ溶岩がそのままの形であちこちに流れる「地殻」部分は調査が進んでいるものの。
表層部分である、通称「浮遊大陸」は未だ探索もままらない状態。
過酷な星に住まう龍族と、アークスは長い時間をかけて意思の疎通を試みてきたのだが。
龍族はその高い知能と、戦闘種族としての誇りをもって他者の介入を拒み続けてきた。

「アムドゥスキアに?」

リュードは思わずオウム返しのように繰り返した。
口が滑りそうになる。
その様子に、目の前の研究者肌の女性は僅かに首を傾げてから頷いた。

「何か、問題でもあるのかね?」
「いや・・・」
「おっと、名乗るのが遅れたね。私はアキ。こっちは助手のライト君。私はアークスだが同時に生物学者でもある。特に龍族の研究をその糧にしているのだが」

ショップエリアからイベント広場へと抜ける通路の片隅で。
おどおどと相手を伺うライトを従え、アキはきつい目を覆う赤い縁のメガネを指で押し上げた。

「つい先日、面白い言葉を龍族の一人から聞いてね」

リュードの姿を上から下まで見てから。
ニヤリと、彼女は笑った。

「『天を仰ぐ漆黒の髪』『血の色の衣』『水より深い翠の眼を持つ、面(おもて)に傷を持つ男』を『ロガ様』が呼んでいる、とね」
「?!」

彼女の言う「男」は紛れもなく。
エリは隣に立つパートナーを見やった。

「リュードの事・・・?」

見事なまでに特徴を掴んだその「伝言」に、他ならぬリュードが一番驚いている。
龍族を追い回すようにして研究をしているアキならばともかく、何故自分を?
呆然と自分を見るリュードに、アキは笑った。

「私を伝言役に仕立てるとは、龍族もしたたかなものだよ。君を探しだすのはさほど苦労はしなかった。それに・・・・」

まるで「観察」でもするように、鋭い視線でリュードを見る。

「何故だろうね?君達には『初めて会う』気がしないんだ。特に君・・リュード君、だったか」

口を滑らせそうになったのは「彼らにとっては初めてではない」からだ。
以前、まだ完全にリュードの記憶が戻っていなかった頃。
火山洞窟の探索を依頼されて、共に地殻の調査へ向かった。
そこで出会った「ヴォル・ドラゴン」の侵食を食い止めた事は、まだ彼らの記憶に新しい。
言葉を選んで目を泳がせていると、アキはふと笑った。

「ああ、いや。私の悪い癖だな。つい興味のある対象は観察してしまう。気にしないでくれ給え」
「・・・・・」

あまり突っ込まれたくないものだ、とリュードは苦笑した。
そんな様子の二人に、アキは話題を変えるように視線を外した。

「ともかく、君を呼んでいるという『ロガ様』に私も用があってね」
「何かあったんですか?」

エリが疑問を口にする。
アキは向き直り、その目を更に釣り上げた。

「龍族のダーカーによる侵食は、君達も知っているだろう。以前から指摘はされていたのだが、その侵食状態が思った以上に酷く進んでいる。私はそれを止めたいが為に、幾度と無く接触を試みているのだが・・・」
「聞こうとしない?」

考え込むように顎に手をやり、アキは頷く。

「龍族には、『ヒ』『コ』と呼ばれる一族が居る。まだ『ヒ』の一族はこちらの言葉に耳を傾けるのだが、『コ』の一族は浮遊大陸に踏み込んだアークスを片っ端から襲う程、我々を敵視しているのだよ。ヒの一族の言葉にすら耳を貸さないらしい」
「同じ種族なのに?」
「部族による階級分けの為だろう。その中にも、『ロ』の一族という特別な存在があってね」
「ふむ・・・?」
「全ての龍族が無条件で従う、絶対的な一族だそうだ。崇められる理由は分からないが、それだけの存在であればそこに『話』が通れば全てが解決するのだよ」
「聞く耳を持たない一族も、絶対存在である『ロ』族の言葉なら聞く、そういう事ね?」
「・・・何処に住んでいるか分からない、姿も分からない。・・・とはいえ、彼ら龍族の存続に関わる問題だ。探しださなければならない。ロの一族が全てを統べるというなら、その責務を果たしてもらわねばならないからね」
「だから、『ロガ様』が呼んでいるという『俺』に足がかりを求めた」
「・・・察しがいいね。流石だ」

ひと通りの説明を終え、アキは笑いながら頷いた。

「ともかく、直ぐにでも出発したい。時間が惜しいのでね」

自分を呼ぶ「ロガ様」とは何者か。
何となく察しは付いているのだが、それも実際に行ってみなければ分からない。
ひょっとすると、例の「武器の破片」に関わる情報を持っているかもしれない。
まだあの武器はパーツが足りないとジグがぼやいていたのを思い出す。

「了解した。準備が出来次第アムドゥスキアへ向かう」
「現地の座標を送信しておく、そこで集合しよう。連絡を待っているよ」

言うなり、くるりと背を向けて歩き出すアキ。
全く、科学者とか研究者と呼ばれる人種はどうにも個性的だ。
リュードはそう独りごちた。



指定された座標を打ち込み、テレプールを作動させる。

「準備はいいか?」
「いつでも」
「よし。降下する」

二人は、迷わず水面のようにみえる転送装置へと身を躍らせた。
転送途中に視界に広がる「空に浮かぶ大地」と「燃えたぎる溶岩の谷」。
気付くと、妙に開けた洞窟の中に立っていた。

「フォトンシールド正常作動」
「こちらも大丈夫よ・・・?」

装備を確認した直後に、目の前に居る人物に気付いた。
広間の真ん中に立ち尽くす「龍族」。

『待っていたぞ、アークス』

相手を落ち着かせる響きを持つ「声」。
それは、「念話」と呼ばれる彼ら独特のコミュニケーション法。
目の前に佇む龍族は、他の龍族とは明らかに様子が違っていた。
エリが訝しげに見つめると。
龍族は、視線を返すように二人をじっと見据えた。
特にリュードを、その姿を確かめるように見つめている。

『・・・本当に、あの研究者は探しだしたのだな』
「私は言葉を違えるような事はしない。そう言ったろう?」

背後から、アキの声が飛んでくる。

「やあ、遅くなったかな?」
「いいえ、私達も今来た所よ」

リュードとエリに並ぶように、アキとライトは龍族を見た。
わずかに頭を下げ、龍族はその『言葉』を紡ぐ。

『我は「ヒ・エン」。火龍族を統べる身だ』
「俺はリュード、隣はエリアルドだ」
「私達は以前に名乗ったが、覚えているかい?」
『無論だ。アキ、ライト。そしてリュード、エリアルド。そなた達との出会いに、感謝を。テリオトーに、感謝を』

儀式のように、杖を掲げ。
地の底で、空を仰ぐ。
それから、ヒ・エンはもう一度彼らに向き直った。

『ロガ様がお待ちだ。行くぞ』

それだけを呟き、背を向けて歩き出す。
それを見て、ライトが不安な表情を隠そうともせず、龍族を目で追う。

「大丈夫、なんでしょうか・・・?」
「君は帰ってもいいんだよ?」
「そんな事出来るわけないでしょう?放っておいたら先生は何をするか判らないじゃないですか」
「・・・いつもいつもうるさいねぇ君は。そんな事で真実の探求が出来るとでも思っているのかと、何度も言っているじゃないか?」

やれやれ、とアキは肩を落として、くるりと龍族の後に続いて歩き出した。
待ってくださいよ、とライトは慌ててその後を追う。
どうにも、ちぐはぐな二人。
アキに振り回されているように見えるライトに、エリは思わず苦笑した。

さほど進まないうちに、大きな隔壁に道を阻まれる。
ヒ・エンがその杖を掲げると、大きな音を立てて隔壁が開いた。
足早に龍族の長は歩を進め。
その「鼻先」へと跪く。

『ロガ様。仰せの者をお連れいたしました』
『ご苦労だったな、エン』
『有難きお言葉・・・』

そこにいたのは、巨大な龍。
足下にヒ・エンが仕えると、部屋いっぱいに巨大なその翼を広げ。
大きく、雄叫びを上げる。
地の底の空気が震えた。
怯えたように、ライトがアキの後ろで小さくなった。

「あなたが、ロガ様だったの・・・?」

エリが正直に疑問を口にした。
羽を収め、巨龍はその身を横たえる。

『いかにも。我は「ヒ・ロガ」。アークスの子らよ、久しいな』
「・・・久しい?」

アキやライトがその言葉の意味に疑問を持つ側で。
リュードとエリの表情が変わった。

「待ってくれ、貴方には俺達が『分かる』のか?」

リュードとエリの記憶に残る「侵食された龍神との戦い」。
それは、「事象の羅針盤」によって可能性の一つになったはず。
そしてそれ以来、一度も「龍神」には会っていない筈なのだ。
なのに何故それを知って、いや「覚えて」いるのか。
猛る龍神が、今は穏やかにそこにある。

『・・・我も「理(ことわり)」の外に住まう者。我が生命を斯様に救われた事は忘れぬ。無論、公の歩む道の事も知っている』

理の外側に存在するもの。
つまり、自分達のしてきた事を知る数少ない存在。
半信半疑のまま、リュードは立ち尽くしていた。

『訝しがるのも無理もない、我もまた「仕える身」。ヒの一族の神として崇められてはいるがな』
「仕える・・・?」

ヒ・ロガは、その大きな頭をゆっくりともたげ、リュードへその鼻先を向ける。

『空の上、ヒトが『浮遊大陸』と呼ぶその地に、公を待つものがいる』
「・・・俺を?」
『託すべきものがある、そう仰っていた』

託すべきもの。
そう聞いた途端に、リュードの目が僅かに細くなった。
間違いない。

武器の、パーツだ。

リュードはエリへと視線を送る。
エリは黙って頷いた。
龍神は、じっと二人の様子を見つめている。
まるで見定めるように。

『行く行かないは、公の自由だ』
「・・・行くさ。行かなきゃならないんだ」
「そうね」

頷きあい。
リュードは視線を龍神へと戻した。
静けさがその場を取り巻いてからしばらくして。
アキが一歩、前に出た。

「そちらの話は終わったようだね。では、私の言葉を聞いてほしい」
『・・・何用だ?』
「ロの一族に、いや、龍族全てを統べる『存在』に伝えてほしい。『今すぐにダーカーとの戦闘をやめ、その身をアークスの医療部門に委ねる事をすべての龍族に通達して欲しい』と」

リュードの前に割りこむように、アキはヒ・ロガの正面に仁王立ちし。
真っ向から、睨み据えるようにその巨大な目を見た。

『賢しい女よ、汝は我らに「戦わずに死を待て」と言うのか?』
「そうではない、普通の『敵』ならば止めはしない。だがね、ダーカーだけは別だ。今まで何度も通達してきたように、あれはあなた方の考えているような存在では無いのだ」

普段冷静なアキからは考えられないような、興奮した口ぶり。
龍族の事を研究し続け、だれよりも深く理解しているからこそ、語気が荒くなる。
エリがふと、首を傾げた。

「龍族は戦闘部族の筈。彼ら自身でもダーカーを撃退しているのでしょう?」
「『倒せばいい』という訳ではないのだよ。いくら彼らがその屈強な力を持って殲滅しても、ダーカーを完全に『消滅』させる事は出来ない。『残り滓』のようなものが残留するんだ」
「・・・ダーカーを完全に滅ぼせるのは、フォトンを扱えるアークスだけ、だろう?」

この言葉は、『以前』アキ自身から聞いた言葉。
リュードはその言葉をそのまま、彼女に返した。
驚いたように、アキは頷く。

「その通り。フォトンを持たない龍族の『侵食種』が増えているのは、そこにある。このままでは、種としての存在そのもの、いや、アムドゥスキア自体が『侵食』されてしまう」
『その「意味」は良く理解している。だが、コの一族・・・氷龍族には我らの言葉は通らぬ。理解を、誇りが縛り付ける』

半ば諦めたような、龍神の言葉。

「龍族には龍族の歴史やルールがある。くだらない、と一言に断じることは出来ない。だがね」

さらにアキは、一歩前へ。前へ。
ライトの静止も聞かず、ヒ・ロガの鼻先へ立ち。

「それでもあえて私は言う。途方も無いほどにくだらないとね。誇りや矜持を馬鹿にする気はないが、それが命を奪うというなら話は別だ。今存在する彼らに悔いは無かろうとも、後世に多大なる影響を及ぼす。・・・・・・・・それだけは、許されない!!!!」

両の手を拳にして、叫んだ。
怒りの目を真っ正直にヒ・ロガへぶつける。
生物学者ゆえの「命」を守ろうとする怒り。
噂に聞く「度が過ぎる調査」も、龍族を守りたいがゆえの行動。

考え込むようにずっと沈黙を守っていた龍神が。
その重頸をもたげた。

『・・・言霊が、見えた。我らを心から敬愛し、焦慮し、想望しているのだな』
「己の目の前にある血脈の炎が潰えようとしているのを見過ごせる程、私は愚かではないのでね」

取り乱した自分を客観的に見ようと、アキは深呼吸した。
それから、笑みを浮かべる。
ヒ・ロガはゆっくりと、呼応するように頷いた。

『理解(わか)った。「あの方」へ、伝えよう。・・・一族の「病」に侵された者達を頼む』
「勿論だとも、いくらでも引き受けよう」

その視線が声が、心が「信頼」を勝ち得た。
アキはじっと龍族を見てから、ふと振り返る。
突然の視線に、リュードとエリは一瞬身を引いた。

「・・・君達の事も非常に興味はあるが、今はそれどころじゃない。それに『部外者』が手を出して火傷でもしたらたまらないからね。黙っておくよ」

いたずらな笑みを浮かべ、アキは肩をすくめる。
こちらの心配を、見事に見ぬいた。
リュードは苦笑して、僅かに頷く。

「そうして貰えると、助かる」
「それが私からの『礼』だ。あぁ、勿論報酬は別に支払うからね。心配しなくていい。じゃあ我々は先に引き上げるよ」
「あ、ちょっと、先生!!」

事が住むとくるりと背を向け、歩き出す。
ライトが半ば腰を抜かしたような状態で後を追うのを、二人は目で追った。
現金と言うか行動が早いというか。
エリが頷いて、リュードを見た。

「じゃあ、私達も戻りましょうか」
「そうだな」

今一度、龍族を見やり。
リュードは、頭を下げた。

「ありがとう。俺達に出来る事をしてみる」

そうして、顔を上げた時だった。
龍神がその身を起こし、彼らに今一度「正対」した。

『・・・公の身の内に巣喰う「病」は、吾等のそれとは似て異なるものに感じる』
「!」
『だが、それでも公は進むのだろう。それがヒトとして生きる唯一の術(すべ)だ』

ヒ・ロガの言う「病」とは、恐らくリュードの遺伝子に刻まれた「D因子」の事だろう。
隠し事は出来ないな。
リュードは僅かに、笑みを浮かべた。

「俺はただのヒトだよ。今までも、これからも。だがもし・・・ヒトでなくなるような事があれば、覚悟は出来ている」
『その時は、テリオトーの下へ、吾等が誘(いざな)うまでだ』

どこまで本気なのだろうか。
テリオトー。
地獄龍の住まう地と聞いた。
命を落とした龍族の魂が向かう場所とも。
そこへ送るという事は、ヒトであるリュードを「同胞」として認めた事になる。
エリがふと、ヒ・ロガへと向き直った。

「大丈夫よ、私が居るもの」

一瞬、驚いたような顔をして、リュードがエリを見る。
自然に出た言葉。
過信でも何でもなく、口をついて出た。
笑みを浮かべ、己に正対するエリに。

『・・・頼もしいな、小さきヒトよ』

この上なく楽しそうに、龍神は声を上げ。
その翼を、広げた。

『この者達に、導きを』

劈くような、龍神の「雄叫び」。
その声は、火山洞窟を抜け、遥か遠くに見える「空」を突き抜けた。



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