PSO2二次創作小説「時の輪」(17)

あっはっは、実に二ヶ月ぶり。
頑張って続き書くよー!


この小説は、ファンタシースターオンライン2(PSO2)のストーリーを元にした二次創作小説です。
オリジナル要素も含まれますのでご注意ください。
ゲーム内「マターボード」を進められている方(おおよそ6枚目クリアしたくらい)でなければ、ネタバレ状態になりうることをご承知下さい。

初めての方はまず

PSO2二次創作小説「Black Dream」~黒い夢~

をお読みになる事をお勧めします。

PSO2二次創作小説「時の輪」

「プロローグ」

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)

(11) (12) (13) (14) (15) (16)


↓PSO2二次創作小説「時の輪」(17)
「おい、貴様!!!」

甲高い声で背後から呼び止められた。
物凄く耳障りな声に一瞬眉を顰める。

「?」
「そうだ、貴様だ貴様!」
「…知らない人物に貴様呼ばわりされる筋合いはない」

不機嫌な顔で振り返るリュードの前に、小柄な少女が憮然と立っていた。

「なんだと?貴様は私を知らないというのか貴様!」
「知らないのを知っていると言う事程愚かな行為はないだろうが」
「むう…一理ある、だが貴様、私を知らないとはアークスとして問題が有るぞ?」
「どうしたの?」

少し遅れて、エリがテレパイプから姿を現す。
ようやく浮遊大陸の調査の許可が降り、降り立った直後の出来事だった。
少女は、姿を見せたエリに向き直る。

「ええい貴様!貴様は私を知っているだろう?」
「え…」

詰め寄ってくる少女に一瞬たじろいだ後。
エリは驚愕の表情を浮かべた。

「…く…クラリスクレイス…さん…?」
「え!?」
「そうとも!私が六芒均衡の五、クラリスクレイスだ!恐れいったか!!!」

ようやく自分を知る者が現れたと、少女―クラリスクレイスは胸を張ってふんぞり返った。
リュードはその「名乗り」に呆然となる。

「…待ってくれ、俺の知ってる六芒均衡のクラリスクレイスと違う…」

六芒均衡。
四十年前の大戦時、名を馳せた六人のアークス。
アークスの士気を向上させる為、その六人に「六芒均衡」の名を与え。
大戦後崩れかけた体制を立て直したと聞いている。
その中でも、三英雄と呼ばれた人物の一人が、クラリスクレイスだった筈。
その反応に、クラリスクレイスは首を傾げる。

「んん?貴様は先代を知っているのか!私は4年前に襲名した三代目だ!」
「…三代目…?」
「貴様、本当にアークスなのか?私を知らないとかおかしいぞ?」

覗きこむように自分を伺うこの横柄な少女に、リュードは苦笑した。

「…俺はアークスとしては十年ほどブランクがあるんでね」
「ふーむ、なら仕方ないか。これから私を覚えておくように!」
「了解した。それで、その六芒均衡が何の用だ?」
「私を六芒均衡と知って尚その態度と顔、なかなか肝が座ってるな。気に入ったぞ?」

エリはそのやりとりに思わず吹き出すが、その後のリュードの睨みに慌てて口を抑えた。
あまりにもマイペース、悪く言えば人の話を聞かないクラリスクレイス。
憮然と、リュードはクラリスクレイスへ向き直る。

「だから…何の用だと聞いてるんだが」
「えーと、それはだな、うん」

途端に、しどろもどろになって挙動が怪しくなる。
本当にこの少女が六芒均衡なのだろうか?
眉間にシワを寄せ、リュードは次第に苛つきを隠せなくなってきた。
と、その時だった。

「はーーーーーーっはっはっはっは!」

背後の岩山の上から、無駄に大きな男の笑い声が降って来た。

「…今度はなんだよ…」
「とうっ!!!!」

太陽を背に、その人影は大仰に岩山の上から飛び降り。
彼らの目の前に派手な土煙を立てて降り立った。

「元気か!陽気か!困ってないかーーーーー!!困っている人を見つけたら即参上!!!」

こちらの状況などまるで無視、妙なポーズまで取ってがなり立て、笑う目の前の男。
リュードは不機嫌極まりない表情を浮かべ、黙りこんでしまった。
男は目の前の反応に一瞬「しまった」と表情を浮かべる。

「…え、あれ、困ってない?いやいや、まさかそんな。困ったフォトンを感じ取ったんだけどなー、ほんとにない?」
「…あのー…貴方は?」

リュードの態度に困り果てたエリが控えめにそう問いかけると。

「俺?俺はヒューイ!六芒均衡の六をやっている!!」
「は?!」

再び呆然とリュードはヒューイを見た。
無駄に大きな声と派手な態度とその姿。自分よりも一回り若いその青年。

「…六芒均衡の六…?あんたが?」
「ヒューイ!」

エリとリュードを押し退けるようにして、クラリスクレイスがヒューイに詰め寄る。

「遅かったではないか!」
「クラリスクレイスじゃないか、何でこんなトコロに?」
「貴様が来ないから、先に敵を爆破して進んでいたのだ!おまけに道に迷うし…」

先細りに声が小さくなるクラリスクレイス。
道に迷った?
六芒均衡の五が?
思わず、エリと顔を見合わせてしまう。
それで、俺達に声をかけてきたのか。
リュードは思いきり深いため息をつき、エリはただ呆然と立ちすくんでいる。
そんな二人を差し置いて、六芒均衡の名を持つ二人の言い合いは続く。

「なんだ、困ったフォトンの主はお前だったのか!はっはっは!」
「笑い事ではない!」
「まあ細かい事は気にするな!ここで会えたんだから良かったじゃないか!なあ!」
「…俺達、先に行ってもいいか」

リュードの刺すような視線。
ヒューイの顔色が途端に悪くなる。

「ま、まあ、もし困ったことがあったら俺の名を呼んでくれ!ではまたな!!!」
「待て、待てヒューイ!話は終わっていないぞ!!」

踵を返して、ヒューイは逃げるように歩き出した。
慌ててクラリスクレイスが後を追う。
憮然とそれを見送っていたリュードが、その「背中」にある武器にふと目が止まった。

…あれは…?!

色こそ違うが、あの形状。
ため息を付いて、エリが歩み寄る。

「何だったのかしら…あの二人」
「…あれが六芒均衡とは、随分時代が変わったな…それより」
「え?」
「見たか、あの武器」

クラリスクレイスの背にあった武器の形状は。
「自分達が探しているパーツ」に、とても良く似ていた。

「…ここで会ったのも『偶然じゃない』って事?」
「分からん…が、何か繋がりはありそうだ」

あんな性格でも、伊達に六芒は名乗っていないか。
そもそも『六芒均衡』が二人同時に自分たちの前に現れた事を『偶然』にするには出来過ぎている気がする。
吹きすさぶ冷たい風を受けながら、リュードとエリは二人を見送っていた。



それにしても、とエリはようやくあたりを見回す。

「凄いところね」
「高い所は大丈夫か?」
「うん、平気」

先ほどの喧騒が嘘のように、あたりを取り巻くのは風の音だけ。
自分達の降り立った「地面」が、少し進むとすぐに無くなっている。
空の上に浮かぶ「浮遊大陸」。
はるか視界の下方に、赤黒い「大地」が見えては居るが。
足場を確認しながら、彼らは進んだ。

「落ちないように気をつけないと…」

エリがそう呟くのと同時に、奇妙な生物が姿を見せた。
水色の身体を持った、二本足で立つワニのような。

「龍族?」
「…エネミーか?」

ぞろぞろと湧き出るように姿を表し、彼らを取り囲む。
その気配は。

「どうやら、歓迎されてる感じじゃなさそうだ」
「そのようね」

武器を抜き、身構える二人。
徐々に「包囲」を狭め、襲いかかろうとする。

『待て』

念話が、響いた。
「声」のする方へ、瞬時にリュードは視線を送る。

『貴様が、件のアークスか』

小高い丘の上から、一人の龍族が歩み寄ってくる。
大きな盾と剣を持ったまま。
周りに居た生物たちが従うように、その龍族へ近寄っていく。

『…我が名は、コ・リウ。コの一族を統べる』
「コの一族…」

その姿は、ヒの一族に似て異なる。
水晶のような透き通った鱗が全身を覆っている為、その身が空の青さを反射して自らが青く輝いているように見えた。
タルナーダを背に収め、リュードは向き直る。

「俺はリュード、こっちはエリアルドだ。無礼を詫びる」
『貴様達の事は、聞いている』

武器を収め、エリは笑った。

「それなら話は早いわ。あなた方を治めている『ロの一族』の所へ案内して欲しいの」
しかし。

『…気安くあのお方を呼ぶな、アークス』
「!」

歩み寄ろうとするエリを制するように、コ・リウは真っ直ぐにその巨大な剣を突きつけた。
瞬時に、庇うようにリュードがその刃先に立つ。

『そもそも、人間などが容易くこの場へ足を踏み入れること自体が気に入らん。ヒのエンの言葉が無ければ、斬り捨てているところだ』

片目に大きな傷跡を残しているコ・リウは、吐き捨てるように呟く。
その言葉にははっきりとした「拒絶」が浮かんでいた。
己の眼の前にある刃をその手でゆっくりと押し下げて、リュードはコの一族の長を睨み据える。

「…何故そこまで他者を、人間を排斥する?」
『知れたこと、貴様ら人間ごときに我らの誇りを踏み躙られたくないからだ。貴様達が同胞を救っていると聞いてはいるが、慣れ合うつもりはない』

コ・リウの表情が、更に歪む。
今まで長い間アークスは龍族との交渉を続けてきたにもかかわらず、ここまで人間を嫌悪しているとは。
何かがあったとしか、思えない。

「私たちはただ、あなた達に協力したいだけなのよ?」
『貴様達の後ろにいるような人間が居る限り、それは無理な話だ』
「…!?」

突然、その場を「闇のフォトン」が満たした。
この気配は。
弾かれるように、リュードとエリは武器を抜いて振り返る。

「…仮面!!!」

エリが思わず、叫ぶ。
黒い衣を纏った「仮面」が、いつの間にか立ち尽くしていた。
全身から闇の気を立ち上らせ、リュードを見ている。

「…面倒な時に…」
『ふ、どうやら「仲間」ではなさそうだな…。貴様、何者だ。我らの領域に無断で踏み入るとは』

コ・リウは怒りを露にし、仮面を見据えた。
しかし、仮面が見ているのは「リュード」だけ。
剣を抜き、その切っ先に彼を据え。
悍ましい殺気に満ちた声を上げた。

「リュード…貴様を、殺す」

何故だ。
何故こいつは、俺を執拗に狙う?
今はあの武器の欠片を持っているわけではないのに。

思えば、最初に出会った時からそうだった。
「自分」を知っている、そんな様子を見せていた。

「見逃しては、くれないようだな?」

呼応するように、リュードは真っ直ぐにタルナーダを構える。
しかし。
コ・リウがゆっくりと、リュードとエリの間を割るように歩いた。

『…貴様達は先に進め。この無礼者とは、我が戯れよう』

リュードが一瞬身を引くほどのその闘気は、仮面を凌ぐもの。
ようやく、仮面の意識がコ・リウへと向いた。

「邪魔をするなら、殺す」
『ハ!面白い!我らの力、その身に…刻め!!!』

言うな否や、驚くほどの速さで間合いを詰め、龍族の長は仮面に斬り挑んだ。

「リウ!!」
『邪魔だ!さっさと行け!!』

火花を散らしながら、コ・リウが叫んだ。

「リュード…」
「…行こう。彼を信じるしか無い」

後ろ髪を引かれるように、エリは何度も振り返る。
時間がない。
ここで時間を稼いで貰っている内に、彼の言う「あのお方」の下へたどり着かなければ。
二人は振り切るように、走りだした。



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